音楽売上世界一のUMG、売上高の半分は北米 多様化図るも依存増す

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ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)は、2023年12月期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益、特別損益除く)が23億6,900万ユーロとなり、前期比11%増加したと発表した。 売上高は7%増の111億800万ユーロ。好調な業績を示したものの、Music Business Worldwide(MBW)は、レコード音楽の売上高(84億6,100万ユーロ)のうち51%を北米が占めたことを問題視している。

MBWの調査によると、UMGの世界的なレコード音楽収入に占める北米の割合は、2014年の39%から過去10年間で着実に増えている。特に米国などの主要市場でストリーミングの伸びが頭打ちとなることが予想されることから、同社は買収などを通じて市場の多様化を進めているものの成果が出ていないのが実情だ。他地域を見ると、2023年の欧州、アジア、南米のシェアは小幅な伸びとなった。

一方で、上位50組のアーティストがレコード音楽の売上高全体に占める割合は24%にとどまる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「iTunes Music StoreやSpotifyの立ち上げを積極的に助け、直近ではテクノロジーに果敢なグランジCEOのもとYouTubeと生成AI関連のプロジェクトを進めるUMGだが、自身を音楽産業の頂点に導いたスーパーアーティスト主導・先進国主導型の戦略が成長鈍化の壁に当たろうとしている。一方、アジア・南米・アフリカなどに注力してきたBelieveなどディストリビューターが急成長エリアでシェアを確保しつつある」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。

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