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米連邦最高裁は25日、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとしてトランプ前大統領らが起訴された事件で、トランプ氏が大統領在任中の公的な行為は刑事責任を免れるという免責特権を主張していることに関して口頭弁論を開いた。トランプ氏が主張する「絶対的な免責」については懐疑的な発言が相次いだが、保守派の判事らは一部免責を認める考えをにじませた。
トランプ氏は23年8月に起訴されたが、訴追対象となった行為は在任中の公的な行為の一環であり、免責特権が適用されると主張。ワシントンの連邦高裁は24年2月、この事件に免責特権は適用されないと判断した。しかし、トランプ氏はこれを不服として上訴した。最高裁は今会期末の6月末から7月初旬までに判断を示すとみられる。大統領の刑事事件における免責特権について判断を示せば初めてになる。
口頭弁論は約2時間半に及んだ。リベラル派のケーガン判事は、合衆国憲法に免責特権が明記されなかったことに触れ、「米国の創設者らは法の上に立つという君主に反発した。要は、大統領は法を超越してはならないということではなかったのか」と指摘。免責を認めれば「王」を生み出すことになるとの懸念を示した。
一方、保守派のアリート判事は「大統領は法の執行に関して多くの厳しい決断を下さねばならない。判断を間違えた場合、一般の人と同じく刑事訴追を受けるなら、特に不安定な立場になる」と話し、免責を容認する姿勢を示唆した。トランプ氏が指名した保守派3人のうちの一人、カバノー判事は将来への影響に触れ、大統領への捜査が「止まることなく循環し、現在の大統領や次の大統領、その次の大統領に対しても行われることになる」などと語った。
トランプ氏は弁論に先立ち、自身のソーシャルメディアで、免責特権がなければ、大統領は「政敵からの恐喝」に遭い、応じなければ退任後に訴追される危険性があると主張。弁論後には、ニューヨークで記者団に対し「免責特権がなければ大統領は『儀礼的』な大統領になってしまう。我々は大統領に、物事を成し遂げ、人々を一つにまとめてほしいのだ」などと語った。
起訴された事件の裁判手続きは、最初の公判期日が3月4日に設定されたが、免責特権に関する最高裁の判断を待つ必要があるとして延期されたままになっている。この日の口頭弁論では下級審に審理を差し戻すべきではないかという意見も出た。こうなればさらに決着までに時間がかかり、事件の公判開始がますます遅れることになる。11月の大統領選への悪影響を懸念して公判の引き延ばしを図ってきたトランプ氏にとって、有利に働く可能性が高い。【ワシントン西田進一郎】
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