「スマホは学習に使っても学力が伸び悩む」 脳トレ監修者の警鐘

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スマートフォンやタブレット端末を長時間使うと、家庭学習をしても学力が伸び悩む傾向がある
スマートフォンやタブレット端末を長時間使うと、家庭学習をしても学力が伸び悩む傾向がある

 スマートフォンやタブレット端末を長時間使う子どもは、家庭学習をいくら頑張っても学力が伸び悩む。開いているのが学習用のアプリであっても――。東北大加齢医学研究所の川島隆太教授(脳科学)が、昨年末に出版した著書「本を読むだけで脳は若返る」でそんな報告をしている。子どもの努力を水の泡にしないためにはどうすればいいのか。川島教授は「まずはリスクを知って」と訴える。

脳がマッサージを受けている時の状態に

 そもそも、人が何かを学んだり創造したりしているとき、脳内では「思考の脳」と呼ばれる「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」が働くことが知られている。川島教授は携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」のソフトで、2005年に発売された「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(脳トレ)の監修者。デジタル機器の小さい画面で映像や画像を見ると、この背外側前頭前野の活動が抑制されることをソフトの開発段階から実験で確認していた。

 その後、スマホの使用に伴う脳の活動も調べたところ、特に動画を見ているときは一点を見つめ、ぼうっとしているときよりも背外側前頭前野の活動が抑えられていることが分かった。

 実は、マッサージを受けている人の脳でも似たような現象がみられるという。「マッサージを受けると心も体もリラックスして気持ちよくなりますが、そのときに背外側前頭前野の活動が低下します。スマホなどを見ているときも脳がリラックスした状態になり、活動が低下すると考えられます」

スマホ・タブレットが学力伸び悩みの原因

 東北大加齢医学研究所は、学術協定を結ぶ仙台市教育委員会から同市内の公立小中学校に通う全児童・生徒7万人以上の学力や生活習慣に関するデータの提供を受けている。18年度に、小学5年生~中学3年生(約3万6000人)を対象としたスマホ・タブレットに関する研究に乗り出したところ、驚くべきことが判明した。

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