車両内ストレッチ、秋田の内陸線が推奨 健康増進目的での利用促す

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秋田内陸線の車両内で体を動かす秋田リハビリテーション学院の学生ら=北秋田市で2024年4月18日、工藤哲撮影
秋田内陸線の車両内で体を動かす秋田リハビリテーション学院の学生ら=北秋田市で2024年4月18日、工藤哲撮影

 「ガタン、ゴトン」と鉄道車両が揺れる中で体を動かすと運動効果がより高まるとして、秋田内陸縦貫鉄道(北秋田市)は、運行する秋田内陸線の鉄道車内での軽いストレッチを推奨し始めた。利用者増を目指す同社は「各地の公民館などで実施されている体操を車内で試してもらい、健康増進の目的でも利用してほしい」とパンフレットを作ってPRしている。

 同社によると、鉄道利用者から「病気を患い現在治療中です。今日は車両に乗って、とても癒やされました」といった感想がたびたび寄せられていた。そこで車内の揺れや心地よい音が健康増進につながるのではないかと仮説を立て、検証に取り組んできた。

 「秋田リハビリテーション学院」(秋田市)が協力し、走行中に学生らが運動や身体活動の強度の単位である「METs(メッツ)」を測定した。列車内では立っているだけで運動になることや、揺れる列車内で体を動かすとよりエネルギーを消費することが証明されたという。

 具体的には、安静時に研究室で座っている状態を1メッツとすると、列車内では静かに立つだけで進行方向前向きで1・4メッツ、横向きで1・6メッツだった。さらに、車内での軽いスクワット2・4メッツ▽かかと上げ2・6メッツ▽足踏み2・8メッツ――という結果が出た。

 同学院で測定を手がけた福原隆志・専任教員は18日の記者会見で安全性などについて「一般の列車だと揺れが大きかったり、速度が出たりするとバランスを崩しやすいが、内陸線は比較的ゆっくり動くうえ、車内も広いので運動がしやすい」と説明した。今後は内陸線がもたらす可能性があるメンタルヘルス向上効果についても研究を進めるとしている。

 また、秋田内陸縦貫鉄道の吉田裕幸社長は「これまでの誘客は沿線の温泉や食などがまず先にあり、鉄道はそれに付随するアクセスの一手段という考え方が多かったが、今回はそれを逆にしている。鉄道に乗ることで健康になってもらえれば」と期待。「ローカル線の新たな使い道として多くの方に発信したい」と意気込む。

 同社は「通常通りの切符で列車に乗れば、他の乗客に迷惑のかからない範囲で自由に体を動かして構わない」としている。運動方法は、パンフレット「いきいき秋田の健康レール」などで紹介している。問い合わせは同社(0186・82・3231)。【工藤哲】

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