SNS、少子化、共働き… 「子持ち様」批判が起きるわけ

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佐藤一磨・拓殖大教授=東京都文京区の拓殖大で2024年2月14日午後0時40分、御園生枝里撮影
佐藤一磨・拓殖大教授=東京都文京区の拓殖大で2024年2月14日午後0時40分、御園生枝里撮影

 子育て中の人がSNS(ネット交流サービス)で「子持ち様」とやゆされ、批判される現象に歯止めがかからない。少子化が進む中、1児を持つ拓殖大の佐藤一磨教授(家族の経済学)は「これから結婚や子育てを希望する人たちを萎縮させかねない」と危惧する。

 「子持ち様」批判を巡る専門家へのインタビューを全3回でお届けします。
 1回目 SNS、少子化、共働き 批判のわけ
 2回目 歴史は繰り返す 50年前はベビーカー禁止
 3回目 女性の間に分断 安藤優子さんの見方

「子持ち様」批判に三つの背景

 「子持ち様」批判に関する統計はなく、「誰が誰をそう呼んでいるか」などの全体像はつかめません。しかし、多くの人の関心を集めていることは間違いなく、そこには三つの背景があると考えます。

 一つ目はSNSという拡散力のある「装置」が発達したことです。ただ、ある発信が影響力を持つには共感する一定層が必要になります。それに関連するのが、二つ目の背景である子どものいる世帯の減少です。子育てをする人は少数派になりつつあり、生涯未婚率も上昇しています。子育てはやってみないとその大変さはなかなか分かりませんが、その苦労を知る人が減り、むしろ批判する側への共感が広がっているということではないでしょうか。

 三つ目は、「子育ての外部化」が進んだことです。以前は結婚して子どもができると仕事を辞めて家事や育児に専念する女性が多かったのですが、社会からの要請や価値観の変化もあり、今では仕事を続ける人が増えました。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、18歳未満の未婚の子どもがいる世帯のうち母親…

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