急増の中国人留学生は脅威? 台湾近くフィリピンの島、周辺に軍拠点

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南シナ海では、中国海警局の船舶がフィリピン側の船に放水するなど緊張が高まっている=2024年3月5日、ロイター
南シナ海では、中国海警局の船舶がフィリピン側の船に放水するなど緊張が高まっている=2024年3月5日、ロイター

 台湾に近いフィリピン・ルソン島北部のカガヤン州で中国人留学生が急増し、物議を醸している。南シナ海で領有権を争うフィリピンと中国の間で緊張が高まる中、比軍は留学生の調査を開始。中国側が反発している。

 比メディアによると、調査はカガヤン州の私立大などで学ぶ中国人留学生約4600人が対象。学生らは正規の学生ビザで入国しているという。比国家安全保障会議のマラヤ統括補佐は「安全保障上の脅威なのか、それとも、ただフィリピンで学びたい人なのかを見極める」と説明した。

南シナ海における中国の挑発的な行動に抗議するフィリピン人ら=マニラで2024年4月9日、ロイター
南シナ海における中国の挑発的な行動に抗議するフィリピン人ら=マニラで2024年4月9日、ロイター

 同州とその周辺には、米国との「防衛協力強化協定」(EDCA)に基づき、2023年4月に米軍が使用できるようになった比軍の拠点3カ所がある。比下院議会では今年3月、米中関係や南シナ海の状況を踏まえ「(留学生の数は)ただならぬ急増ぶりだ」と懸念する声が出ていた。

 これに対し「親中派」として知られるカガヤン州のマンバ知事は、中国人留学生が増加したのは、19年に比政府と中国側が結んだ高等教育に関する協定に基づくとし、「南シナ海の対立と中国人留学生を関連させる理由はない」と説明した。在フィリピン中国大使館は「悪意がある非難だ」と反発している。

 比メディアは今回の問題について「中国との新たな火種」と報じる一方で「疑心暗鬼が中国人全体に対する差別につながる懸念がある」と指摘している。【バンコク石山絵歩】

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