玄海町議会特別委、核ごみ調査受け入れの請願を採択 佐賀

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原子力対策特別委員会に臨む玄海町の脇山伸太郎町長=佐賀県玄海町で2024年4月25日午前9時53分、矢頭智剛撮影
原子力対策特別委員会に臨む玄海町の脇山伸太郎町長=佐賀県玄海町で2024年4月25日午前9時53分、矢頭智剛撮影

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、佐賀県玄海町議会は25日、全町議(10人)がメンバーとなっている原子力対策特別委員会を開き、町内3団体から提出された文献調査受け入れを求める請願を賛成多数で採択した。

 委員長を除く9人で採決し、賛成6人、反対3人だった。26日に開かれる本会議でも採択される見通し。町内には九州電力玄海原発が立地しており、原発立地自治体で調査受け入れを求める請願が採択されれば初めてとなる。脇山伸太郎町長が最終判断し、5月の大型連休明けに表明する。

 特別委では、賛成派町議から「最終処分場の議論が進まないなか、問題提起として文献調査を受け入れるべきだ」との主張が出た。調査は処分場受け入れとは別問題と強調しながら、「議論の末に玄海町が適地となれば検討する余地もある」と述べた町議もいた。

 反対派町議からは「最終処分場ができれば、狭い町の地中に廃棄物が埋まり、その上で町民が生活することになる。農業、畜産、漁業では風評被害が出る」との懸念が出た。「請願が出たことを町民がほとんど知らない」と、周知が進まないなかで採決することを疑問視する声も上がった。

 特別委終了後、脇山町長は記者団の取材に「皆さんよく議論されたと感じた。町民から請願が出て議会で採択されたので、大変重く受け止めている」と語った。26日の本会議の議論を踏まえ、住民への周知期間を一定程度取ったうえで、最終判断する意向を示した。

 最終処分場の選定は、文献調査(2年程度)▽概要調査(4年程度)▽精密調査(14年程度)――の3段階の調査があり、文献調査は市町村の判断で実施できる。概要調査以降は都道府県の同意も必要となるが、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は「新たな負担を受け入れる考えはない」との考えを示している。

 国は複数の候補地から適地を絞りたい考えで、文献調査を受け入れれば、国から最大20億円が交付される。ただ、これまで調査を受け入れたのは、いずれも北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村のみ。長崎県対馬市では2023年、市議会が調査受け入れの請願を採択した後、市長が受け入れ拒否を表明した。

 玄海町は人口約5200人(23年10月現在)。24年度の当初予算の歳入約100億円のうち、原発関連が約6割を占める。24日公表の「人口戦略会議」による試算では、50年までの30年間で若年女性減少率が県内ワーストの66%で「消滅可能性自治体」だった。【五十嵐隆浩、森永亨】

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