米欧保護主義の「虚実」 対中国関税引き上げの思惑とは

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全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説するジョー・バイデン米大統領=米ペンシルベニア州で2024年4月17日、ロイター
全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説するジョー・バイデン米大統領=米ペンシルベニア州で2024年4月17日、ロイター

 米欧が安価な中国製品に対する保護主義的な動きを強めている。バイデン米大統領は鉄鋼・アルミニウム製品の関税引き上げ検討を表明。欧州連合(EU)も中国製の電気自動車(EV)などの市場拡大を警戒する。ただ、そうした対中強硬論にはそれぞれの政治的思惑を反映した「虚実」も入り交じる。

 「鉄鋼とアルミに関する中国の貿易慣行を調査している。反競争的な慣行が確認されれば、私は関税率を3倍に引き上げることを検討する」。米東部ペンシルベニア州ピッツバーグの全米鉄鋼労働組合(USW)本部で17日、バイデン氏は米鉄鋼産業を守るため中国産への関税を大幅に引き上げる考えを明言した。集まった鉄鋼労働関係者からは大きな拍手が起こった。

「関税3倍」は空虚な主張?

 大統領任期中に関税引き上げで米中貿易戦争を引き起こし「タリフ(関税)マン」を自称したトランプ前大統領をほうふつとさせる過激な発言だ。だが、派手な言葉の響きとは裏腹に「関税3倍」の実質的な影響は少ないとする見方は多い。

 米…

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