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【闘病】「なんで私が…」子宮頸部上皮内がん シングルマザーになってすぐの発覚

 公開日:2024/04/24

妊娠中に子宮頸がん検査の異常を指摘され、出産後の再検査で「子宮頸部上皮内癌」と診断された押川さん。「なんで私が……」という思いを抱きながらも、手術を受け、術後の定期的な検査を受けて現在は普段の生活に支障なく過ごされているそうです。「出産後に検査を受けて良かった」という押川さんに、発症までの経緯や治療の経過、現在の様子をお聞きしました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。

 
【画像】出産後、シングルマザーとなった押川さんと娘さんの写真

押川 映子さん

体験者プロフィール
押川 映子

プロフィールをもっと見る

子どもと愛犬と共に暮らす40代女性。2012年に長女を出産後、産後半年頃に行った子宮頸がん検査で「子宮頸部上皮内癌」と診断される。2012年に手術を受け、その後5年間は定期的に子宮頸がん検査も受ける。現在は年2回の定期検査を受けつつ、働きながら日常生活を送っている。

吉田 悠人

記事監修医師
吉田 悠人
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

シングルマザーとして娘のために生きると決めた矢先に病気の宣告

シングルマザーとして娘のために生きると決めた矢先に病気の宣告

編集部編集部

押川さんの子宮頸部上皮内癌が判明した経緯を教えてください。

押川 映子さん押川さん

2011年6月に長女の妊娠が判明し、妊婦健診を受けたら「子宮頸がん検査の異常」を指摘されました。産後半年頃に再検査を受けるように言われたので、2012年8月に子宮頸がん検査を受けたところ「子宮頸部上皮内癌」と分かりました。

編集部編集部

医師からの説明を聞いた時の心境はいかがでしたか?

押川 映子さん押川さん

「前回の異常は妊娠によるものだろう」と思って再検査を受けたので、激しくショックを受けました。当時は夫と離婚してシングルマザーになって間もない頃で、仕事も決まったばかりの状況でした。そして私自身も看護師で婦人科病棟の経験があるため、当時看てきた患者さんを思い出して「娘を1人にしてしまうのではないか」という不安にも襲われました。当時の気持ちはとても辛く、今でも思い出すと涙が出ます。「これから娘と2人で生きていくと決めたのになんで私が……」という気持ちが強かったです。

編集部編集部

医師からは病気や治療についてどのような説明があったのでしょうか?

押川 映子さん押川さん

異常を指摘された際は、「妊娠の影響が考えられるため、出産後に必ず再検査を受けるように」と言われました。そして再検査を受けて陽性の結果が出た時は「子宮頸がんの可能性があるので、詳細な検査や手術ができる病院への転院をおすすめします」と言われました。総合病院に転院して改めて精密検査である組織診を行ったところ、「子宮頸部上皮内癌」と診断が確定しました。

編集部編集部

手術から現在までの経過はいかがですか?

押川 映子さん押川さん

2012年10月からは仕事に復帰する予定だったので、9月中に手術を終えたいと相談しました。手術室の空いていた9月末頃に入院し、子宮頸部円錐切除術という手術を受けました。術後は3か月~1年の間隔を空けて受診し、年に1回は子宮頸がんの細胞診検査を受けました。そして、5年間検査の「陰性」が続き、現在は2年に1回の頻度で受けています。今も不正出血が出ることはありますが、受診しても異常なしで経過しています。

編集部編集部

発症後にご自身の生活で変化した点はありますか?

押川 映子さん押川さん

以前よりも体調の変化に敏感になりました。

バセドウ病と子宮腺筋症も経験し、体の違和感を放置しないことを大切にしている

バセドウ病と子宮腺筋症も経験し、体の違和感を放置しないことを大切にしている

編集部編集部

押川さんが普段の生活で気を付けていることは何でしょうか?

押川 映子さん押川さん

私は子宮頸部上皮内癌以外にも、バセドウ病と子宮腺筋症も経験しており、自分の中で体の違和感を放置しないように気を付けています。風邪などでも同様で、早期に対応して最小限の負担に抑えるよう心掛けています。

編集部編集部

治療中に心の支えになったものは何ですか?

押川 映子さん押川さん

やはり娘の存在で、彼女の成長を感じることが支えになっていました。そして、娘を出産した翌月には父が膀胱がんで大きな手術をしたこともあり、父の頑張る姿を見ていたことも「もっと頑張らなければ」と思うきっかけになりました。父は2013年4月に他界したのですが、私の闘病生活にとって支えになったことは間違いありません。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけるなら、何と声をかけたいですか?

押川 映子さん押川さん

今だからこそ言えますが、妊娠中の医師の言葉を忘れずに再検査を受けたことは正解だったと言いたいです。不安になるのも当然だけど、「大丈夫、あなたは元気に娘の成長を見ていられるから」と言って安心させたいです。

編集部編集部

現在の体調や受診状況も教えていただけますか?

押川 映子さん押川さん

今は子宮腺筋症を発症しているため、3~6か月に1回の頻度で婦人科に通っています。内服薬を使用していますが、定期的な受診のおかげもあって生活に支障なく経過しています。

編集部編集部

子宮頸がんについて意識していない方向けに、伝えたいことをお願いできますか?

押川 映子さん押川さん

子宮頸がん検査は20歳を過ぎると、各市区町村の健診・検診で受けられることがほとんどです。ぜひ、女性のみなさんは健診を受けてほしいと思います。子宮頸部上皮内癌は前がん病変とも呼ばれ、完治の可能性が高い病気ですが早期発見が重要です。婦人科受診はどうしてもためらいがちですが、少しでも早く対応できるように、子宮頸がん検査はもちろん受けられる定期検査はしっかりと受けることが大切だと思います。

「恥ずかしい」「めんどくさい」と思っても、ほったらかしにしないで

「恥ずかしい」「めんどくさい」と思っても、ほったらかしにしないで

編集部編集部

押川さん自身も医療従事者ですが、医療従事者の方に望むことはありますか?

押川 映子さん押川さん

私自身、今回3つのクリニックや病院の医療従事者のみなさんにお世話になりました。そして、いずれも良く対応していただけたと思います。強いて言うなら、看護師側はいつもの日常であっても受診者側は非日常のことで緊張していることを忘れないでほしいと思いました。今回の経験は自分の看護師業務の中でも生きています。

編集部編集部

最後に本記事の読者向けにメッセージをお願いします。

押川 映子さん押川さん

私が産後にすぐ再受診という行動が取れたのは、過去に多くの患者さんから「少し変だと思ったけど様子見しちゃった」「再検査を受けるよう言われたけど、ほったらかしにしちゃった」と聞いていたからです。「恥ずかしい」「めんどくさい」という気持ちになるのもわかりますが、後でわかっても失った時間と悪化した病状は取り戻せません。定期健診をしっかり受け、体の違和感を放置せず、医療機関への受診をしてください。そして、何でもなければ「よかった」と安心し、問題があれば早期発見・早期対応できるようにしてくれると嬉しいです。

編集部まとめ

押川さんのように妊娠をきっかけに検査を行い、再検査を行って判明することもあります。病状が進行してからでは手遅れになる可能性もありますから、早期発見・早期治療のためにも定期健診の受診を意識するようにしましょう。

この記事の監修医師