中間貯蔵施設巡り周辺自治体と溝 山口・上関、調査開始も曲折予想

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山口県上関町の中国電力所有地で始まったボーリング調査=代表撮影
山口県上関町の中国電力所有地で始まったボーリング調査=代表撮影

 中国電力などが山口県上関町で計画する、原子力発電所の使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設を巡り、中国電は23日、建設予定地で地質などを調べるボーリング調査を始めた。町が2023年8月に調査受け入れを表明して8カ月。調査は本格化するが、一部住民や周辺自治体の反発や不安の声は根強く、今後も曲折が予想される。

 ボーリング調査は、同町長島の中国電が所有する敷地(160ヘクタール)の11カ所で実施。深いところで300メートルほど掘り下げ、地下の土や岩盤のサンプルを採取し地質を調べる。期間は半年程度を予定し、すでに進めている、過去に巨大地震や津波に襲われた経験がないかなどを文献で調べる文献調査の結果と合わせて分析する。建設が可能と判断されれば、町に改めて建設の申し入れをし、町が建設の是非を判断する見通しだ。

 ボーリング調査が始まったことを受け、上関町の西哲夫町長は記者団の取材に「中国電力には事故がないよう、確実に調査を終わらせてほしい。適地と判断されれば、国も核燃料サイクル政策などをしっかり説明してほしい」と語った。

 一方、中国電の敷地前では反対住民ら約30人が「ボーリング調査するな!」と書かれたプラカードやのぼりなどをかかげ抗議した。町内に住む木村力さん(76)は「施設ができれば、核燃料が永久に保管されるかもしれない。子どもたちが大人になったときの町を守る責任がある」と訴えた。

 調査中は、国から毎年最大1億4000万円、知事が同意すればその後の2年間は最大約20億円が交付される。町が…

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