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知床観光船事故

2022年4月23日、知床半島沖で観光船が沈没。乗客乗員計26人のうち20人が死亡、6人が行方不明に。

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「悲しみ癒えることない」 知床・観光船沈没事故から2年

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知床観光船事故追悼式典会場で献花する捜索ボランティアの桜井憲二さん=北海道斜里町で2024年4月23日午前11時41分、貝塚太一撮影 拡大
知床観光船事故追悼式典会場で献花する捜索ボランティアの桜井憲二さん=北海道斜里町で2024年4月23日午前11時41分、貝塚太一撮影

 北海道・知床半島沖で乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故は23日、発生から2年を迎えた。船が出港したウトロ漁港のある斜里町では追悼式が開かれ、遺族や関係者が犠牲者の冥福を祈り、悲惨な事故を繰り返さないと誓った。乗客14人の遺族約30人は5月にも、運航会社などに損害賠償を求める集団訴訟を札幌地裁に起こす。

 追悼式は町などが主催し、約150人が参列。山内浩彰町長は「被害者の無念やご家族の不条理を思うと、やるせない気持ちでいっぱいになる。このような事故が二度と起きないよう、何をすべきか地域全体で繰り返し問いたい」と式辞を述べた。

 事故が起きた午後1時10分ごろには全員で黙とう。式典の実行委員長を務めた野尻勝規・知床斜里町観光協会会長は「自然を観光資源とする私たちにとって、偶発的な事故は防ぎようがない一方、人為的な事故を繰り返してはいけない」と対策の徹底を誓った。

 追悼式の前には、遺族と斜里町が意見交換する場も非公開で設けられた。関係者によると、遺族側は慰霊碑の建立を求め、献花台やカズワンの船体と一体的に展示するよう要望。町側は、住民の意向も踏まえて検討するとした。

 事故で長男(当時34歳)が行方不明となり、家族4人で参列した福岡県久留米市の男性(65)は「悲しみが癒えることはない。悲惨な事故を二度と起こさないよう、慰霊碑は人の目につく場所に建ててほしい。絶対に、奥まった場所や人の来ない場所ではいけない」と強調した。

 式典後、報道陣の取材に応じた山内町長は「事故を歴史に刻み、被害者家族に寄り添っていきたい」と話す一方、慰霊碑の建立については「家族の意見を受け止めながら考えていくが、今のところは白紙」と述べるにとどめた。

 事故では乗員乗客20人が死亡し、6人が見つかっていない。第1管区海上保安本部は、業務上過失致死などの疑いで捜査を続けている。【伊藤遥、金将来、本多竹志】

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