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北海道・知床半島沖で乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故は23日、発生から2年を迎えた。船が出港したウトロ漁港のある斜里町では追悼式が開かれ、遺族や関係者が犠牲者の冥福を祈り、悲惨な事故を繰り返さないと誓った。乗客14人の遺族約30人は5月にも、運航会社などに損害賠償を求める集団訴訟を札幌地裁に起こす。
追悼式は町などが主催し、約150人が参列。山内浩彰町長は「被害者の無念やご家族の不条理を思うと、やるせない気持ちでいっぱいになる。このような事故が二度と起きないよう、何をすべきか地域全体で繰り返し問いたい」と式辞を述べた。
事故が起きた午後1時10分ごろには全員で黙とう。式典の実行委員長を務めた野尻勝規・知床斜里町観光協会会長は「自然を観光資源とする私たちにとって、偶発的な事故は防ぎようがない一方、人為的な事故を繰り返してはいけない」と対策の徹底を誓った。
追悼式の前には、遺族と斜里町が意見交換する場も非公開で設けられた。関係者によると、遺族側は慰霊碑の建立を求め、献花台やカズワンの船体と一体的に展示するよう要望。町側は、住民の意向も踏まえて検討するとした。
事故で長男(当時34歳)が行方不明となり、家族4人で参列した福岡県久留米市の男性(65)は「悲しみが癒えることはない。悲惨な事故を二度と起こさないよう、慰霊碑は人の目につく場所に建ててほしい。絶対に、奥まった場所や人の来ない場所ではいけない」と強調した。
式典後、報道陣の取材に応じた山内町長は「事故を歴史に刻み、被害者家族に寄り添っていきたい」と話す一方、慰霊碑の建立については「家族の意見を受け止めながら考えていくが、今のところは白紙」と述べるにとどめた。
事故では乗員乗客20人が死亡し、6人が見つかっていない。第1管区海上保安本部は、業務上過失致死などの疑いで捜査を続けている。【伊藤遥、金将来、本多竹志】
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