「京の台所」錦市場、無形文化遺産登録へ始動 各国市場と連携

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観光客で混雑する錦市場=京都市中京区で2024年4月20日午後4時43分、藤顕一郎撮影
観光客で混雑する錦市場=京都市中京区で2024年4月20日午後4時43分、藤顕一郎撮影

 「京の台所」として知られ400年以上の歴史を持つ京都市中京区の「錦市場」が、アーケードを持つ世界各都市の歴史ある市場と連携して、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指すことになった。歴史的なたたずまいや時代を超えて守られてきた営みを「市場文化」として発信するとともに、オーバーツーリズム(観光公害)対策に連携して取り組む狙いがある。

 錦市場の店主らでつくる商店街振興組合が23日、会合を開き、世界各都市の市場で設立を目指す協会に参加する方針を決めた。

 伊・フィレンツェのサン・ロレンツォ中央市場が4月、創設150周年の記念事業として、錦市場やスペイン・バルセロナ、独・ベルリン、デンマーク・コペンハーゲンなど、13都市のアーケードのある歴史的な市場に呼びかけて国際会議を開催し、ユネスコの無形文化遺産登録に向けた協会の設立を提案した。

 協会の活動としては、市場の保護・振興のほか、オーバーツーリズム対策や販売強化に向けた関係機関との協議促進などが想定されている。

 錦市場では新型コロナウイルス禍以前から、訪日客らの増加による混雑の深刻化や、それに伴う地元客の市場離れへの対策が急務となっている。

 京都市とフィレンツェは姉妹都市協定を締結しており、錦市場とサン・ロレンツォ中央市場も2006年に友好協定を結び、市場でのイベントなどを通じて交流を進めてきた。

 振興組合の初田信行理事長(77)は「楽しみに来てくれる観光客は裏切れない。(無形文化遺産に)登録をされることでオーバーツーリズムを解決するきっかけになれば」と期待する。

 文化庁によると、国内からは歌舞伎や能楽、和食、和紙など22件が無形文化遺産に登録されている。日本では他国と共同で登録した例はないが、「鷹狩(たかが)り」「アラビア書道」など、複数の国で登録されたケースもある。【水谷怜央那】

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