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国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員がイスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃に参加したとの疑惑を受けて、UNRWAの中立性を調べていた第三者検証グループは22日、最終報告書を発表した。中立性と人道主義を順守する「強固な枠組み」があると評価しながらも、「問題は残っている」としてUNRWAが運営する学校や職員採用のプロセスなどに関する50項目で改善を勧告した。
一方、「UNRWA職員の多くがハマスなどの関係者」などとするイスラエルの主張について、報告書は「イスラエルはその裏付けとなる証拠をまだ提示していない」と記した。UNRWAは2011年からイスラエル側と職員リストを共有しているが、懸念を示されたことはなかったとも指摘した。UNRWA職員がテロ攻撃に関わった疑惑については、国連の内部監査部(OIOS)が別に調査を進めている。
検証グループはフランスのコロナ前外相をトップに、北欧の三つの人権研究機関が協力して2月半ばに作業を始めた。パレスチナ自治区のヨルダン川西岸やイスラエルなどを訪問し、職員を含む200人以上にインタビューした。
報告書は「UNRWAはパレスチナの人々の人間的、経済的発展になくてはならない存在」だと指摘。その上で他の国際機関と異なる課題として、3万人超とされる職員の大部分が現地採用で、同時にUNRWAの事業の受益者でもあることを挙げた。具体的な問題の事例として、UNRWAが運営する学校で偏向した内容の教材が使用されていたほか、「政治化」した職員組合がUNRWAの管理職を脅す業務妨害もあったことなどが確認されたという。
報告書の提出を受けたグテレス国連事務総長は22日、UNRWAと協力して勧告の実行に向けた行動計画を策定するとの声明を発表した。グテレス氏はUNRWAは地域のパレスチナ難民にとっての「生命線」だとし、すべての当事者に改めて支援の継続を呼びかけた。
UNRWAをめぐる疑惑を受けて、一時は16カ国が拠出金を停止したが、組織運営の改善策が進んでいるとして日本を含む少なくとも7カ国が再開を表明した。【ニューヨーク八田浩輔】
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