海自ヘリ、同じ高度を飛行し衝突か 機体が海底なら捜索難航の恐れ

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海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故について取材に応じる木原稔防衛相(左)。右は酒井良海上幕僚長=防衛省で2024年4月22日午前9時35分、手塚耕一郎撮影 拡大
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故について取材に応じる木原稔防衛相(左)。右は酒井良海上幕僚長=防衛省で2024年4月22日午前9時35分、手塚耕一郎撮影

 伊豆諸島・鳥島の東海域で海上自衛隊の哨戒ヘリコプター「SH60K」2機が墜落した事故で、防衛省は22日、2機のフライトレコーダー(飛行記録装置)を調べたところ、機体の異常を示すデータが確認されていないことを明らかにした。海自の事故調査委員会は人的要因で衝突した可能性も視野に入れつつ、原因究明を進める。

 墜落した2機には計8人が搭乗し、1人の死亡が確認された。残る7人は行方不明となっており、海自と海上保安庁による捜索活動が続いている。

墜落した哨戒ヘリコプター「SH60K」2機のフライトレコーダー=海上自衛隊提供 拡大
墜落した哨戒ヘリコプター「SH60K」2機のフライトレコーダー=海上自衛隊提供

 事故は20日夜、鳥島の東約270キロの海域で夜間訓練中に発生。墜落した2機は別の1機とともに、ホバリングをしながらつり下げ式の探知機(ソナー)を海中に投入するなどして潜水艦を追尾する「対潜戦」の訓練に従事していた。墜落した2機のフライトレコーダーは近接した場所で発見され、運用状況からも海自は同程度の高度を近接して飛行し、衝突した可能性が高いとみている。機体の位置や姿勢、機内の会話などのデータ解析を本格化させる。

 現場海域では回転翼のブレード(羽根)やエンジンカバーなど、機体の一部も見つかった。主要部分は発見に至っておらず、海自トップの酒井良海上幕僚長は22日、「常識的に考えて海底に沈下しているだろう」と述べた。重量約10トンの機体が水深約5500メートルの海底に沈んでいれば、捜索は難航が予想される。海自は、海底の地形や潮流、水温などの基礎データを収集する海洋観測艦を派遣する方針。引き揚げには民間のサルベージ船の活用も必要という。

海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した伊豆諸島の鳥島東方海域で捜索に当たる海自の艦船=2024年4月22日、本社機「希望」から 拡大
海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した伊豆諸島の鳥島東方海域で捜索に当たる海自の艦船=2024年4月22日、本社機「希望」から

 防衛省関係者によると、今回の訓練は、海自幹部が部隊の戦術技量を検査する「査閲」の一環で、広島県の呉基地に司令部を置く第4護衛隊群を対象に実施された。事故を受け、海自は同種ヘリの訓練飛行を見合わせた。木原稔防衛相は陸海空の自衛隊に対し、航空機の飛行前後の入念な点検、操縦者への安全管理教育の実施など事故防止に取り組むよう指示した。【松浦吉剛、西本紗保美】

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