フレイル予防と「お出かけ」の意外な関係 「社会との結びつき」が鍵

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「ハツラッツ体操」に励む高齢者ら=高知県仁淀川町で2024年3月14日午前10時19分、小林理撮影
「ハツラッツ体操」に励む高齢者ら=高知県仁淀川町で2024年3月14日午前10時19分、小林理撮影

 ライドシェアや公共交通の自動運転化などドライバー不足を補うための試みが全国で広がる中、高知県仁淀川町でモビリティー確保と高齢者の健康維持を両立させるプロジェクトが始まったと聞いた。モビリティーと、心身の機能が低下する「フレイル(虚弱)」の予防を組み合わせようというのだが、一体どういうことなのか。現地で取材してみた。

 仁淀川町は高知市の北西約40キロの四国山地に位置する。約9割が山林で町には平家の落人伝説が残り、壇ノ浦の戦い(1185年)に敗れて入水(じゅすい)した安徳天皇の墓と伝わる場所もある。人口4795人(2023年1月現在)のうち56・2%が65歳以上だ。

 「ハナモモが見たい」。町内に住む90歳と83歳の女性が希望を伝えると、2人の元へ赤い日産の電気自動車「サクラ」がやってきた。ハンドルを握るのは町内のNPO法人・フレイルサポート仁淀川の男性スタッフ。女性たちはハナモモが咲く町内の名所に行き、ピンクに色づいた花々を見て笑顔をはじけさせた。

 2024年3月から始まったプロジェクトは、高齢者から「お出かけしたい場所」を募り、NPOのメンバーがドライバーとなって同行する。サービスを利用できるのはNPOが進めるフレイル予防の取り組みの参加者たち。目的地は「お出かけ」を楽しむ場所に限り、役場や病院など「どうしても行かなければいけない場所」は、これまで通りバスやタクシーなど公共交通機関を使ってもらう。

 町が予防に力を入れているフレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間の段階を指す。放置すると要介護の状態に進行する可能性が高いが、適切に対応すれば回復したり現状を維持したりできる。町は21年から専門家の指導の下、高齢者がストレッチや筋トレ、器具を使った運動に励む「ハツラッツ体操」を取り入れている。

 「だって、お出かけしたいでしょ?」。ハツラッツ体操の推進役で、今回のプロジェクトも担う同NPOの理事、小松仁視さん(62)に体操とモビリティーの関係を尋ねると、…

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