令和書籍の歴史教科書が合格 過去4回不合格、社長は竹田恒泰氏

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教科書検定で指摘を受けた申請段階の令和書籍の教科書。「現存する世界最古の国家は、我が国なのです」という記述は改められた=東京都千代田区で2024年、宮武祐希撮影 拡大
教科書検定で指摘を受けた申請段階の令和書籍の教科書。「現存する世界最古の国家は、我が国なのです」という記述は改められた=東京都千代田区で2024年、宮武祐希撮影

 文部科学省は19日、2025年度から中学生が使う教科書の検定で「未了」となっていた社会の歴史の2点について、合格にしたと発表した。過去4回にわたり不合格とされた「令和書籍」の教科書で、日本を「現存する世界最古の国家」とした記述など100カ所以上を修正して検定を通過した。

 同社は多くの欠陥を指摘されたこれまでの申請図書を「文部科学省検定不合格教科書」と銘打ちネットなどで販売してきた。保守色の強い中学の歴史教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した自由社版や、育鵬社版などがあるが、文科省によると、24年度の需要に対するシェアは両社合わせて約1%にとどまる。

 「令和書籍」の社長は作家の竹田恒泰氏。21年度検定版として販売した「不合格教科書」の前書きによると、17年に教科書執筆に乗り出した。「(日本の子供が)日本の建国の経緯を知らない」「中学の歴史教科書は、きわめて反日色の強い不適切なものが長年使われてきた」ことなどから、竹田氏が主筆となり「国史教科書」を執筆することにしたとしている。

 だが、18年度を皮切りに4回の教科書検定で不合格になり、20年度は600カ所以上の欠陥を指摘された。21年度版は、中国の呼称を「支那」、新型コロナウイルスを「武漢肺炎」と表記したことにも指摘が入ったという。

 人類の誕生や旧石器時代の説明で始まる歴史教科書が多い中、令和書籍版の冒頭は、神々が日本列島を造ったとする「古事記」の日本神話を紹介。教育基本法が掲げる「個人の価値の尊重」を「ただの権利の享受ではなく、より正しい形で理解できるように」として戦前の「教育勅語」を取り上げたコラムを載せ、従軍慰安婦問題に関する韓国の対応を「蒸し返し」と表現した記述もあった。

 今回の検定では、国家や王朝の成立に関し「(国連加盟国中)現存する世界最古の国家は、我が国なのです」とした部分が「生徒にとって理解し難い」との指摘を受け「皇室は現存する『世界最古の王家』とも言われます」などに改められた。「後白河天皇の院政」を「後白河上皇の院政」に、「健保元年」を「建保元年」と修正した箇所もあった。

 竹田氏は19日夜、自身のX(ツイッター)アカウントで「令和書籍の中学歴史教科書が、文科省教科書検定で合格となりました。6年がかりで合格に至りました。長年応援してくださった方々に御礼申し上げます。今後は採択に向けて活動していきます」と投稿した。

 文科省によると、検定結果公表直前に「教科書の申請内容が外部に流出している」という趣旨の通報が外部から寄せられたため、検定結果の公表を保留。その後、同社の情報管理が適切だったか精査し、検定規則への違反はなかったと結論付けた。【李英浩、西本紗保美】

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