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「インプラントはできない」と断られた… 解決策はある? 諦める前に知っておきたいこと

 更新日:2024/04/18
「インプラントはできない」と断らわれた… 解決策はある? 諦める前に知っておきたいこと

インプラントを希望したのに、「治療はできない」と断られるケースは意外と少なくありません。それでもインプラントが諦めきれない、あるいは歯科医の説明に納得できない場合にほかに手段はないのでしょうか? そこでインプラント治療を断られる理由やその対処法、セカンドオピニオンの方法について「くろさわ歯科医院」の黒澤先生に聞きしました。

黒澤 治伸

監修歯科医師
黒澤 治伸(くろさわ歯科医院)

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昭和大学歯学部卒業。医療法人での勤務を経て、くろさわ歯科医院を開業。丁寧なカウンセリングで患者さんと向き合い、一人ひとりに合わせた最善の治療を提案している。日本口腔インプラント学会、国際口腔インプラント学会(ICOI)の各会員。歯科医師臨床研修指導歯科医。

「インプラントはできない」と断られることがある?具体的な事例やその理由について

「インプラントはできない」と断られることがある?具体的な事例やその理由について

編集部編集部

実際に、歯医者さんで「インプラントはできない」と断られることもあるのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

割合的にどのぐらいあるかは不明ですが、インプラントができないと断られるケースは確かにあります。一方で、断られるケースの中で実際にインプラントが絶対にできない、いわゆる「絶対禁忌」と呼ばれる症例は少ないです。多くの方については、治療のアプローチを変えることでインプラントにできる可能性は高くなります。

編集部編集部

インプラントが絶対にできない「絶対禁忌」には、どのようなケースがあるのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

1つは、糖尿病やがん、重度骨粗しょう症などの全身疾患があって、検査の数値上どうしてもインプラントが難しい、あるいは数値が改善してからではないと治療ができないケースです。そのほかに、現在妊娠中の方や18歳未満の方も、原則としてインプラント治療はできません。

編集部編集部

では、アプローチを変えればインプラント治療が可能というのは、どのようなケースがありますか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

最も多いのは「骨が少ないから」という理由でインプラントを断られるケースです。インプラント治療において「骨が少ない・足りない」というのは確かに難易度も上がりますが、絶対にインプラントができないわけではありません。しかし、必要以上にリスクを強調されたり、極端なトラブル事例などを挙げられたりして、インプラントをあきらめる方もいるようです。

編集部編集部

そのほかに、インプラントが断られるケースにどのようなものがありますか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

歯科医がインプラント治療に消極的、あるいは経験が少ないという理由で、治療オプションにインプラントが提示されないケースがあります。患者さん自身がインプラントを希望されても「インプラント」という治療の選択肢がないため、そこであきらめるしかないという方も少なくないようです。

諦めるのはまだ早い? 「インプラントができない」と言われても治療が可能になる方法・解決策とは?

諦めるのはまだ早い? 「インプラントができない」と言われても治療が可能になる方法・解決策とは?

編集部編集部

インプラントが断られる理由で多い「骨が少ない」というケースでも、インプラントを入れることはできるのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

骨が少ない・足りないという理由でインプラントを断られたケースについては「骨造成(こつぞうせい)」という方法でインプラント治療可能となることがあります。

編集部編集部

「骨造成」とはどのような治療なのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

簡単に言うと、骨が少ない・足りない部分に別の部位から取り出した骨や人工骨、骨補填剤などを補って新たな骨を作っていく治療です。代表的なものに「サイナスリフト」「GBR法」「スプリットクレスト」などの術式があります。

編集部編集部

つまり、インプラントを入れる前に骨の幅や厚みを増やす処置をすれば、通常と同じようにインプラントが入れられるようになるわけですね。

黒澤 治伸先生黒澤先生

はい。ただし、従来のインプラント治療に「骨を増やす」というオプションが加わるため、一般的な治療と比べると時間やコストがかかります。また、大がかりな骨造成が必要なケースでは、処置後しばらく痛みや腫れが続くこともあります。したがって、そのあたりのリスクやデメリットについてもしっかり説明を受けてから、治療をするか・しないかをよく検討していく必要があります。

「インプラントはできない」と言われたらどうしたらいい? 治療を断られた際に進む次のステップとは?

「インプラントはできない」と言われたらどうしたらいい? 治療を断られた際に進む次のステップとは?

編集部編集部

もし、いま通っている歯医者さんで「インプラントはできない」と断られたら、どうしたらいいのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

歯科医がインプラントに消極的、または歯科医の説明に納得がいかない場合は、「セカンドオピニオン」を受けてみることをおすすめします。セカンドオピニオンとは、現在治療を受けている歯科医院とは別の医療機関に意見を求めることです。担当医以外の歯科医の「第2の意見」を聞くことで、インプラントができるのか、ほかの治療法のほうがいいのかの判断材料を増やすことができます。

編集部編集部

セカンドオピニオンを受ける場合、いまの担当医にもその旨を伝えたほうがいいのでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

担当医と信頼関係が築けているようであれば「インプラントも検討したいのでセカンドオピニオンを受けてもいいですか?」と聞いてみるのがベストだと思います。おそらくほとんどの歯科医はそれに対してNOとは言いませんし、理解ある歯科医であればセカンドオピニオン先を紹介してくれるでしょう。とはいえ、やはり患者さんの立場では言いにくいこともあるでしょうから、その場合は無理に伝える必要はないと思います。

編集部編集部

セカンドオピニオン先を自分で探す場合、どのような歯科医院を選ぶのがよいでしょうか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

まずはインプラントの実績が豊富で、設備も整っている歯科医院を探してみましょう。その際、遠い場所の歯科医院だと実際に治療を受ける場合に通院が困難になり、途中で通えなくなる可能性があります。したがって、お近くのエリアで、通える範囲内で探すのがポイントです。

編集部編集部

通院エリアの「インプラント専門医院」であれば安心ですか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

そうですね。ただし、インプラント治療しかやっていない医院は要注意です。インプラントはあくまで治療オプションの1つに過ぎないので、インプラントの話しかしない医院はあまり好ましいとは言えません。歯周病治療や根管治療など、ほかのアプローチ法も含め、お口全体をトータルで治してくれる、あるいは治療計画をしっかり立ててくれる歯科医院をぜひ見つけてください。

編集部編集部

そのほかに、患者側が注意しておきたい点はありますか?

黒澤 治伸先生黒澤先生

治療を一度断られた方がインプラント治療を受けようと思ったら、それ相応の手間と時間がかかることはよく理解しておくべきです。近年は治療技術の発達によって、「インプラントができない」といわれていたケースでも、様々なアプローチによって治療が可能になってきています。その一方で、このようなプロセスを経る治療には「時間がかかる」「費用が高くなる」など、患者さんにとって不利益なことも多くなります。その点も含めて担当医からよく説明してもらい、納得の上で治療に進むようにしてください。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

黒澤 治伸先生黒澤先生

インプラントは適切に使えば素晴らしい治療法ですが、その効果に過度な期待を抱くのは禁物です。少し厳しいお話になりますが、治療に際しては患者さん自身もインプラントについて学び、理解を深めることも忘れないようにしてください。知識を深めることは後悔を避けるためにも必要ですし、正しい選択をする際の基盤にもなります。自分の体のことですから最終的な決断を歯科医に任せきりにせず、ご家族など信頼できる方たちとも相談しながら賢明な選択を行っていきましょう。

編集部まとめ

「インプラントができない」と断られた場合でも、その多くは別のアプローチにより治療ができる可能性があります。前医にはダメと言われたけど諦めきれない、あるいは説明に納得がいかない場合は、「セカンドオピニオン」でほかの歯科医に治療の可否について意見を求めるのも方法の1つです。その際は自身でも治療のメリットやリスク、デメリットなどをよく理解し、周囲と相談しながら最適な治療法を選ぶようにしましょう。

医院情報

くろさわ歯科医院

くろさわ歯科医院
所在地 〒192-0083 東京都八王子市旭町1-4 八王子交通ビル3F
アクセス JR「八王子」駅より徒歩1分
京王線「京王八王子」駅より徒歩5分
診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師