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藤井聡太名人(21)に豊島将之九段(33)が挑戦する将棋の第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局が23、24の両日、千葉県成田市の成田山新勝寺で行われる。名人戦は将棋界最高峰のタイトル戦で、県内での開催は2014年以来10年ぶり。第1局は藤井名人が先勝した。将棋界の重鎮で柏将棋センター師範の石田和雄九段(77)に第2局の見どころを聞いた。【聞き手・松尾知典】
――第1局は藤井名人が豊島九段に逆転勝ちしました。
◆第1局は終盤まで豊島九段が優勢で、そのまま勝ち切っていれば、豊島九段の名局になりました。終盤、豊島九段に信じられないミス(122手目、4四香)が出ました。その局面までに、豊島九段が普通の手を指せないくらい疲れてしまっていたとしか考えられません。一方、藤井名人の強さは昔の大山康晴十五世名人に似てきたと感じています。
――大山十五世名人とどこが似てきたのでしょうか。
◆大山十五世名人の全盛期は「大山の終盤は二度ある」と言われたくらい、逆転勝ちが多かった。藤井名人の将棋全体が大山十五世名人に似てきたのではなく、対局相手に簡単に勝たせず、終盤に優劣をひっくり返すところが似てきたと感じます。
――藤井名人の強さはどこにあるのでしょうか。
◆藤井名人は大局観や読みもいいですが、特に中終盤になった時に、人間離れしているくらい、指し手が正確で勝ちを逃しません。プロ棋士の中でも頭一つ抜けた強さです。豊島九段は序盤、中盤、終盤、全てそつのない将棋を指す正統派の棋士で、藤井名人がいなければ、タイトルを何冠か持っていてもおかしくない棋士です。ただ、最近は豊島九段に限らず他の一流棋士も、藤井名人との対局になると中終盤でどうしても競り負けてしまっている印象です。
――10年ぶりの県内での名人戦開催です。第2局の見どころを教えてください。
◆名人戦という言葉には特別な響きがあります。名人の歴史は約400年前の江戸時代までさかのぼることができ、歴史の重みという点で名人戦に勝るものはありません。歴史ある成田山新勝寺での第2局は、名人戦の舞台としてふさわしいと感じます。名人戦が地元であると、普段は将棋を指さない人も将棋に関心を持つことになり、県内の将棋の普及にとっても大きな意義があります。第2局も、第1局と同じように終盤まで白熱した名局を期待したいです。
いしだ・かずお
1947年生まれ。99年に通算600勝を達成し将棋栄誉賞。2012年引退。現役時代から柏将棋センター(日本将棋連盟東葛支部)で師範を務め、普及に尽力。同連盟によると、東葛支部の会員数は228人(12日現在)。愛知・瀬戸将棋文化振興協会支部583人、東京・翔風館支部263人に次いで全国3位の会員数を誇る。
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