花粉症対策に死角あり スギ伐採先進地で見えた“不都合な現実”
毎日新聞
2024/4/19 06:00(最終更新 4/19 12:00)
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「国民病」と呼ばれる花粉症の撲滅に、岸田政権が躍起になっている。対策の柱はスギ人工林の伐採と花粉が少ない品種への植え替えだが、本当に効果はあるのか。過度な伐採は新たなリスクを生まないか。対策の先進地、東京の山を歩くと「不都合な現実」が見えてきた。
少花粉スギなのに花粉たっぷり
花粉の飛散が増え始めた3月2日、東京都青梅市の幹線道路にほど近い山林へ向かうと、枝先に黄色い花を咲かせたスギであふれていた。風に揺れるたびに、大量の花粉が煙のように舞い上がる。
この一帯は東京都が2017~19年、既存のスギなど約9ヘクタールを伐採し、「少花粉スギ」などに植え替えたエリアだ。
花粉が大量に出ていたのは、植え替えから5年目の若木。枝がたわんでしまうほど、花粉をたっぷり付けたスギも多数ある。
現場に同行してくれた元林野庁幹部の中岡茂さん(70)は驚きの声を上げた。
「こんなに花粉が出るなら、わざわざ元の木を切って植え替える意味があるんだろうか」
中岡さんは東北森林管理局計画部長などを歴任し、林業実務に精通した元官僚だ。
124億円の公金投入、効果は未知数
都の花粉対策事業は06年度から始まった。仕組みはこうだ。
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