「伊勢角屋麦酒」が国際コンペで金賞 4大会連続は日本のメーカー初

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金賞受賞を喜ぶ瀬田一帆工場長=三重県伊勢市下野町の伊勢角屋麦酒下野工場で2024年4月17日、小沢由紀撮影 拡大
金賞受賞を喜ぶ瀬田一帆工場長=三重県伊勢市下野町の伊勢角屋麦酒下野工場で2024年4月17日、小沢由紀撮影

 三重県伊勢市のクラフトビールメーカーが世界で快挙を成し遂げた。3月にイギリスで開かれた国際ビール審査会「The International Brewing Awards(IBA)」で「伊勢角屋麦酒(ビール)」が2017年、19年、21年に続き4大会連続で金賞を受賞した。日本のメーカーでは初めてだという。

 伊勢角屋麦酒は、1575年創業の「二軒茶屋餅角屋本店」(伊勢市神久6、鈴木成宗社長)が運営するクラフトビール事業所。餅菓子「二軒茶屋餅」を製造する老舗の鈴木社長が大学時代に微生物の働きに興味を抱き、さらに醸造へ関心を広げ、1997年に創業した。「伊勢から世界へ」「あなたの人生にエールを!」をスローガンに、世界に認められるビール作りを続け、「イセカド」の愛称で親しまれている。

 挑戦したIBAは1886年に英国で始まった世界最古の国際ビールコンペで、映画のアカデミー賞になぞらえて、「ビール界のオスカー」とも呼ばれている。製造方法やアルコール度数などで分かれる各部門に、今回は世界138ブルワリーの600銘柄がエントリーし、品質や風味などを専門家が審査した。原則隔年で開催されているが、今回は、前回から3年後に開かれた。

 伊勢角屋麦酒は97年の創業当時から販売している「ペールエール」が、17年と19年の両大会で金賞を受賞した。柑橘(かんきつ)系の香りやコクと甘みがあり、口当たりの良い、さっぱりとした飲み応えで、世界から評価された。

 21年大会では「脳がとろけるウルトラヘヴン3×IPA」などの銘柄が金賞に選ばれると、今回は「ペールエール」が2大会ぶりに、限定商品の「なま角スモークオイスタースタウト」とともに金賞に輝いた。

 22年から工場長を務める瀬田一帆さん(27)は看板商品であるペールエールの受賞を喜び、「前回は逃していただけに、今回は、と期待が大きかった。やってきた成果が評価され、心の底からうれしい」と喜んだ。

 ともに金賞に選ばれた「なま角スモークオイスタースタウト」も、鳥羽市浦村町産のカキの殻と身を使った意欲作。燻製(くんせい)香と磯の香のバランスが良く、料理に合わせやすいという。瀬田工場長は「定番商品は磨きをかけつつ、これまでのビールの世界にないような新たな商品を世に出せるように、研究開発に力を入れたい」と話していた。【小沢由紀】

   ◇

 伊勢角屋麦酒は20日、伊勢市下野町の下野工場で日ごろの感謝を込めて周年祭と工場見学を開催する。午前10時から午後5時まで、出来たて生ビールやオリジナルグッズ、おつまみが販売され、ミュージシャンによるライブも実施される。工場見学(1000円)は各回(10時半、12時、13時半、15時、16時半)で先着15人まで。伊勢市駅北口から無料シャトルバスを40分おきに運行予定。問い合わせは、同社下野工場(0596・63・6515)へ。

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