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【矯正歯科医が解説】見た目・スピード・快適さ…自分のニーズに合った矯正装置(治療法)の選び方

 更新日:2024/04/17
【矯正歯科医が解説】見た目・スピード・快適さ…自分のニーズに合った矯正装置(治療法)の選び方

矯正相談で歯科医から複数の装置や治療法を提案されたとき、「何を基準に選んだらいいのかわからない」とお悩みの方も少なくありません。そこで、自分のニーズに合った矯正装置や治療法の選び方を、鶴見ニコ矯正歯科の小田垣先生にお聞きしました。治療中の見た目や期間はもちろんのこと、性格や体質、ライフスタイルに応じた選び方もアドバイスしていただいたので、矯正治療をご検討中の方はぜひ参考にしてください。

小田垣 直弥

監修歯科医師
小田垣 直弥(鶴見ニコ矯正歯科)

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岡山大学歯学部歯学科卒業。同大学大学院医歯薬学総合研究科歯科矯正学分野修了。矯正歯科クリニックなどで勤務医の経験を経たのち、鶴見ニコ矯正歯科を開院。日々の診療では患者さんの声に真摯に耳を傾け、一人ひとりの理想や価値観を尊重しながら納得のいく治療計画を共に作り上げることを心がけている。日本矯正歯科学会認定医。歯学博士。

矯正治療で「治療中の見た目」「治療期間(スピード)」を重視したい方におすすめの装置・治療法とは?

矯正治療で「治療中の見た目」「治療期間(スピード)」を重視したい方におすすめの装置・治療法とは?

編集部編集部

大人の矯正治療では「治療中の見た目」が気になる方も多いようです。このような方におすすめの矯正装置を教えてください。

小田垣 直弥先生小田垣先生

矯正装置には「マルチブラケット装置」と「マウスピース型矯正装置」の大きく2つがあります。マルチブラケット装置は一般に「ワイヤー矯正」と呼ばれるもので、近年は白いブラケットやワイヤーを用いることで以前より目立ちにくくなっています。とはいえ、装置が表側につくと、やはり人の目に触れてしまうのは避けられません。したがって、治療中の見た目を重視したい場合は、ブラケットやワイヤーを歯の裏側に装着する「裏側矯正」か、装置が透明で目立たない「マウスピース型矯正装置」をおすすめしています。

編集部編集部

営業職や接客業など人と接する機会の多い方の場合、「裏側矯正」と「マウスピース型矯正装置」のどちらがおすすめですか?

小田垣 直弥先生小田垣先生

裏側矯正は「装置が見えない」というメリットの一方で、装置が歯の裏側にくるため「話しづらい」「滑舌が悪くなる」というデメリットもあります。したがって、話すことが多い職種の方はマウスピース型矯正装置のほうが適しているでしょう。装置が完全に見えなくなるわけではありませんが、マウスピース型矯正装置は透明で目立ちませんし、違和感や話しやすさなどを総合的にみると接客業や営業職の方に向いていると思います。

編集部編集部

大人の矯正治療ではもう1つ、「治療期間」も気になるところです。スピードを重視したい方におすすめの装置や治療法はありますか?

小田垣 直弥先生小田垣先生

前提として、矯正治療は「いつまでに、どの程度治したいか」で治療期間が変わってきます。例えば「歯並び全体を治したい」のか「部分的に治したい」のかで異なります。また「結婚式や成人式などのイベントに向けて矯正治療をしたい」といったご相談もよくありますが、歯並び全体の治療でも、イベントの時期に合わせて短期間でまず前歯のガタガタだけ先に治すなどの調整も可能です。このように、治療期間に関しては装置や治療法を選択する前に、ゴールを明確にしておくことが重要です。

編集部編集部

スピードを重視したい場合は、「どこをゴールにするか」を決めておく必要があるのですね。

小田垣 直弥先生小田垣先生

はい。一方で、どのケースでも共通して治療スピードを上げる方法はいくつかあります。1つは「矯正用アンカースクリュー」という小さなネジを骨の中に埋め込む方法です。この方法を併用すると従来の装置とは異なる歯の動きや力の入れ方が可能になるため、歯を効率よく動かすことができます。そのほかに、光や振動を与えることで歯の動きを速める「加速装置」を治療に併用すると、期間を短縮できる可能性があります。

「面倒くさがり」「口が敏感」「痛みに弱い」 性格や感覚にマッチした矯正装置・治療法を見つけるヒント

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編集部編集部

矯正装置や治療法を選ぶ際、「見た目」や「治療期間」のほかに考慮したいポイントはありますか?

小田垣 直弥先生小田垣先生

マウスピース型矯正装置は見た目や滑舌を気にされる方に最適な一方で、性格的に「まめでない人」「面倒くさがりの人」にはあまりおすすめできません。矯正治療は平均して2~3年はかかる治療なので、自分の性格や感覚なども装置や治療法を選ぶ際には重要なポイントといえます。

編集部編集部

なぜ、まめでない人・面倒くさがりの人にマウスピース型矯正装置は向かないのでしょうか?

小田垣 直弥先生小田垣先生

マウスピース型矯正装置は1日20~22時間の装着が必要なうえ、飲食の際は必ず装置を外さなければなりません。お水以外の飲み物は外して飲まなければなりませんし、むし歯予防の点から装置をつけ直す前には歯を磨く必要があります。そのため、「何か口にするたびに外して歯を磨くのは面倒」と思う方には向かない装置といえます。

編集部編集部

確かに、取り外しが面倒に感じる方は固定式のマルチブラケット装置(ワイヤー矯正)のほうが楽かもしれませんね。

小田垣 直弥先生小田垣先生

マルチブラケット装置のほうが「つけっぱなしで楽だ」と感じる方もいらっしゃるようです。一方で、この装置は口内に常に異物が入っている状態になるため、お口の感覚が敏感な方には不快に感じられるかもしれません。また、マウスピース型矯正装置と比べると痛みも強いため、痛みに弱い方にはマウスピース型矯正装置の方が適していると言えるでしょう。

編集部編集部

矯正装置や治療法を選ぶ時は、自分の性格や違和感・痛みの感じ方なども考慮したほうがいいわけですね。

小田垣 直弥先生小田垣先生

そうですね。数カ月程度のことであれば我慢もできますが、矯正治療は数年単位で行うものなので、長期的な視点で自分に合ったものを選ぶことも重要だと思います。

趣味やスポーツ、転勤の予定…ライフスタイルに合わせた矯正装置・治療法の選び方

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編集部編集部

そのほかに、矯正装置や治療法を選ぶ際に考えておきたいポイントはありますか?

小田垣 直弥先生小田垣先生

吹奏楽を趣味にしている方がマルチブラケット装置(ワイヤー矯正)を選択する際は「音色が少し変わるかもしれない」ということはお伝えしています。同じく、スポーツを楽しまれる方もマルチブラケット装置はケガをしやすいため注意が必要です。競技によってはマウスガードの装着が義務づけられているスポーツもあるため、取り外しができるマウスピース型矯正装置のほうが適している場合もあります。

編集部編集部

自身の趣味やライフスタイルも、装置や治療法を選択する際に大きなポイントになりそうですね。

小田垣 直弥先生小田垣先生

はい。その意味においては、通院ペースや頻度も装置を選択する際のポイントの1つといえます。マルチブラケット装置は基本的に1カ月に1回の通院ペースであるのに対し、マウスピース型矯正装置は2~3カ月に1回と通院の間隔が少し長くなります。例えば、将来的に転勤の可能性がある場合、少し遠方に引っ越す程度であればマウスピース型矯正装置のほうが転院せずに治療が続けやすいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

小田垣 直弥先生小田垣先生

矯正装置や治療法を選ぶ際は、以上の点を考える前に「自分がどうなりたいか」を明確にすることが何より大切です。まずは、歯並びや噛み合わせ、口元などをどのように改善したいのか、自身がどうなりたいのかを明確にし、それを具体的に歯科医へ伝えましょう。治療を成功させるうえで一番重要なのは、患者さんと歯科医が同じ目標・同じゴールに向かって進むことであり、装置や治療法はその目標を達成する手段に過ぎません。その点をふまえたうえで、歯科医とよく相談しながら、自分に最適な装置や治療法を選んでいただきたいと思います。

編集部まとめ

矯正治療で装置や治療法を選ぶ際は、治療中の見た目・治療期間のほかに、自身の性格や感覚、ライフスタイルなどを判断材料に加えることも大切なようです。本記事を参考に各装置の特徴やメリット・デメリットを理解し、歯科医と相談のうえ自分に合った治療法をぜひ見つけていきましょう。

医院情報

鶴見ニコ矯正歯科

鶴見ニコ矯正歯科
所在地 〒538-0052 大阪府大阪市鶴見区横堤2丁目23-5 一徳ビル2F
アクセス 大阪メトロ地下鉄長堀鶴見緑地線「横堤駅」2番出口隣
診療科目 マウスピース、一般歯科、審美治療、小児歯科、歯科検診、矯正歯科

この記事の監修歯科医師