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神戸市は、地震など大規模災害時に市街地であふれる「帰宅困難者」をスマートフォンで誘導するための支援システムを開発した。現在地や要援護の希望に応じて、受け入れ先のホテルや公共施設を予約できる。市によると、防災・減災に向けて最先端技術を活用するDX(デジタルトランスフォーメーション)化が推進される中、今回のようなシステムが導入されるのは全国で初めて。
帰宅困難者は大規模地震が発生した際、交通網のまひで移動が困難になる人々を指す。東日本大震災(2011年)時は首都圏で公共交通機関がストップし、約515万人が帰宅困難に陥った。
市の推計では、繁華街やビジネス街が集中する中央区では平日に20万人が帰宅困難になる。うち1万8000人が観光や買い物で訪れており、徒歩での帰宅などができなくなる恐れがあるという。
「一時滞在施設」スマホに一覧表示
システムは4月から導入された。災害発生時のみ起動され、駅や商業施設のデジタルサイネージ(電子看板)に表示されるQRコードからアクセスすることができる。
スマートフォンなどからアクセスし、高齢者、障害者、乳幼児がいるかどうかなどの条件を選択。その後、中央区内26カ所のホテルや公共施設などの「一時滞在施設」のうち条件に沿った付近の施設がリストアップされる。特定の施設を先着順で予約すれば、サイト内に掲載されるグーグルマップに道のりが表示される。
インバウンド(訪日客)や留学生向けに多言語に切り替えることも可能で、英語▽中国語▽韓国語▽ベトナム語――の4カ国語に対応している。
内閣府は、災害時に帰宅困難者が滞留するのを防ぐため、一時的に安全を確保できる比較的広い「一時退避場所」に誘導するよう各自治体に求めている。
市によると、これまでは市職員らが三宮地区の帰宅困難者を緊急避難場所の東遊園地まで誘導する計画だった。今回の取り組みは帰宅困難者側がこの過程を省略でき、一時滞在施設までの誘導に割くマンパワーを抑える効果も見込めるという。
久元喜造市長は「実際に帰宅困難になる方々の目線に立って、できるだけスムーズに誘導できるシステムとして構築した。まだ改善の余地はあると思うので、災害に詳しい専門家の意見を聞いて進化させたい」としている。【山本康介】
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