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取材中に想定外も 民放ドキュメンタリー「94歳のゲイ」映画化

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ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」の一場面©MBS/TBS 拡大
ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」の一場面©MBS/TBS

 全国各地の民放でこだわりの制作者によるドキュメンタリーが注目されている。放送開始から40年を超える大阪・MBSの「映像」シリーズからは、「94歳のゲイ」が映画化され、20日から東京・ポレポレ東中野で上映される。

 「94歳のゲイ」は、大阪・釜ケ崎で暮らす長谷忠(はせ・ただし)さんの半生を追った作品。長谷さんは現代詩手帖賞を受賞するなど詩人として活躍する一方で、自分が同性愛者であることを長年明かさずに生きてきた。90歳間近になって自分はゲイだと打ち明ける長谷さんに、新たな出会い、そして別れが訪れ――。

ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」より、長谷忠さんの若い頃©MBS/TBS 拡大
ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」より、長谷忠さんの若い頃©MBS/TBS

 吉川元基(きっかわ・げんき)監督は「私自身、(性的少数者について)取材を始めた段階ではほとんど勉強していなかった。どうやったら関心のない人に届くかなと意識して作品を作り上げた」と話す。

 取材の進め方について、吉川さんは「まず、長谷さんとの距離を縮め、寄り添う、話をじっくり聞いてファンになる。撮影して素材がたまり、編集をする中で、客観的に素材を見る作業をしている」と説明する。「撮れた事実を構成していくのがドキュメンタリー。視聴者によりわかりやすくするために、音楽やテロップはつけるが、誇張や演出はしないよう心がけている」

 しんどい部分を聞くと、「一番大変なのはカメラを回すまでの取材交渉。原則、顔出し、実名でやっていますが、今の時代、顔は出したくない、実名は嫌だという人がどんどん増えている。しんどいですが、そんな中でも、顔を出して実名で、という相当な覚悟で取材に応えてくれている」という。

ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」の一場面©MBS/TBS 拡大
ドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」の一場面©MBS/TBS

 「映像」シリーズは1980年にスタートした在阪局初のドキュメンタリー枠で、月1本を放送。奥田雅治プロデューサーは「シリーズはディレクターの個人商店になっていて、誰かからこれをやれということはなく、取材中に想定外のことが起こり、それが番組を膨らませる。今回の映画でも、吉川が想定していない悲しい出来事が起こります。ドキュメンタリーはやはり取材中の意外性が大事だと思います」と話す。

 東京での上映後、全国で順次公開予定。20日は吉川監督、長谷さんらの舞台あいさつもある。詳しくは公式ホームページ(https://94sai.jp/)。【油井雅和】

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