バイデン大統領、日鉄のUSスチール買収に難色 鉄鋼労組で演説

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全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説するバイデン米大統領=米ペンシルベニア州で2024年4月17日、ロイター 拡大
全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説するバイデン米大統領=米ペンシルベニア州で2024年4月17日、ロイター

 バイデン米大統領は17日、米東部ペンシルベニア州ピッツバーグの全米鉄鋼労働組合(USW)本部で演説し、米鉄鋼大手USスチールについて「完全な米国企業であり続けるべきだ」と述べ、日本製鉄による買収に改めて難色を示した。中国から輸入される鉄鋼・アルミニウムについては、関税を3倍に引き上げることを検討すると表明した。

 同州は11月の大統領選の結果を左右する「激戦州」。USWは日本製鉄のUSスチール買収に反対しており、バイデン氏は重要な支持基盤であるUSWの意向を尊重する考えを示している。バイデン氏は演説で「米国人が所有し、米国人の鉄鋼労働者によって操業される。そうなると約束する」とも述べた。

 これを受け、日鉄とUSスチールは共同声明を発表。USスチールが社名変更や本社移転などをしないと明確にし、「何世代にもわたり、米国の象徴的な企業であり続けることを確かなものとする」と強調した。

 バイデン氏の演説の中では、中国の鉄鋼会社が中国政府の多額の補助金により、不当に安い価格で世界市場にダンピング(不当廉売)を続けているとも批判。「彼らは競争しているのではない。不正をしているのだ」と断じ、米鉄鋼労働者を守るため関税の引き上げを検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと説明した。

 関税引き上げについて在ワシントン中国大使館の報道官は、毎日新聞の取材に「米国の一国主義と保護主義の具現化だ。米国は何度も同じ過ちを繰り返している」と反発している。【ワシントン大久保渉】

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