米国土安保長官の弾劾裁判、事実上の無罪 「不法移民の急増」で訴追

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米連邦議会=2024年2月14日、秋山信一撮影 拡大
米連邦議会=2024年2月14日、秋山信一撮影

 米連邦上院は17日、「不法移民の急増を招いた」として下院で弾劾訴追されたマヨルカス国土安全保障長官の弾劾裁判を開いた。閣僚の弾劾裁判が開かれたのは148年ぶり。上院で多数派の民主党系の主導で、実質審理に入る前に弾劾訴追の内容が違憲だと議決し、裁判は約3時間で終了。マヨルカス氏は事実上の無罪となった。

 ホワイトハウス法律顧問室のサムス報道官は「今回の弾劾に根拠はなく、保守派の法学者でも違憲だと指摘していた。バイデン大統領とマヨルカス氏は今後も米国の安全を維持する職務を果たしていく」と述べた。

 マヨルカス氏は今年2月、米南部のメキシコとの国境からの不法移民急増を巡って「移民・国境管理の法律違反」「議会での虚偽証言などの背信行為」を理由に下院共和党の主導で弾劾訴追された。しかし、上院で多数派の民主党系は「重大な犯罪や非行の証拠はない」と反発し、弾劾裁判を早期に終了させる方針を示していた。

 共和党のトランプ前大統領は11月の大統領選に向けて、民主党のバイデン大統領が「国境の混乱を招いた」と批判している。下院での弾劾訴追を巡っても、事実関係の精査より、政治的な思惑が先行していた。

 弾劾訴追には下院の過半数の賛成、弾劾裁判での有罪評決には上院で「出席議員の3分の2」の支持が必要となる。上院(定数100)は民主党系が51議席を占めており、マヨルカス氏が有罪になる可能性は極めて低いとみられていた。【ワシントン秋山信一】

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