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「私用」は有給の理由にならない?覚えておきたい有給休暇の基本ルール

2024.04.18

有給休暇を申請するにあたって、特段理由を勤務先へ伝える必要はない。有給休暇は労働者に対して当然に与えられた権利である以上、取得する目的は自由だからだ。

しかし、実際には有給を申請するにあたって理由を求める勤務先は少なくない。勤務先でのトラブルを避けるために、無難な理由の伝え方を知っておくことは有意義だろう。

この記事では、有給休暇を取得する理由が自由である根拠や、理由を求められた時の回答方法を解説する。

有給(年次有給休暇)とは

有給休暇(年次有給休暇)とは、労働者が心身の疲労を回復し、明日への活力と創造力を養い、ゆとりある勤労者生活を実現するための制度だ。有給はすべての労働者に認められており、労働基準法で定められている要件を満たせば、労働者全員に付与される。

有給休暇が付与されるかどうかにあたって、事業場の業種や規模は関係ない。また、雇用形態も関係ないため、正社員だけでなくパート・アルバイトなどの非正規雇用労働者でも、有給休暇は付与される。業務委託やフリーランスの場合は雇用関係にないため、有給休暇は付与されない。

なお、労働基準法で定められている有給休暇の付与日数は以下のとおりだ。

継続勤務期間

6カ月

1年6カ月

2年6カ月

3年6カ月

4年6カ月

5年6カ月

6年6カ月以上

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

週所定労働日数が4日以下、かつ週所定労働時間30時間未満の労働者に関しては、以下のとおりだ。

週の所定労働日数

4日

3日

2日

1日

1年の所定労働日数

169日~216日

121日~168日

273日~120日

48日~72日

継続勤務6カ月

7

5

3

1

継続勤務1年6カ月

8

6

4

2

継続勤務2年6カ月

9

6

4

2

継続勤務3年6カ月

10

8

5

2

継続勤務4年6カ月

12

9

6

3

継続勤務5年6カ月

13

10

6

3

継続勤務6年6カ月以上

15

11

7

3

6カ月以上継続勤務した労働者は、就労条件に応じた有給休暇を得られる。また、有給休暇の権利を得るためには、継続勤務の要件に加えて「継続勤務期間ごとに出勤率8割以上」という要件もある。

パートやアルバイトで勤務している人の中には、「自分は正規雇用ではないから、有給がない」と誤った認識をしている人も多い。しかし、有給休暇はすべての労働者に対して与えられる権利である点を押さえておこう。

なお、有給休暇の権利には時効があり、2年で消滅する。前年度の残りは今年度に繰り越せるが、前々年度の有給休暇は2年で行使できなくなる点に注意しよう。

※出典:厚生労働省「年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています 有給休暇」の付与日数は、法律で決まっています」

※出典:厚生労働省「年次有給休暇のポイント」

年次有給休暇の申請が「私用」でOKな根拠

年次有給休暇は労働者に当然与えられた権利であり、労働基準法で義務付けられた制度だ。労働者が権利を行使(有給休暇を申請)する際に、特段理由は必要ない。しかし、勤務先によっては、有給休暇を申請する際に理由を聞いてくるケースがある。もし理由を聞かれたとしても、「私用」と伝えればよいだろう。

有給休暇は、前述のとおり「労働者が心身の疲労を回復し、明日への活力と創造力を養い、ゆとりある勤労者生活を実現するための制度」だ。制度の趣旨や目的を踏まえると、事業主が理由について干渉する余地はない。

つまり、家族旅行や趣味を楽しむための私用で申請しても、有給の申請を却下されることは基本的にない。「理由に関係なく、好きなタイミングで取得できる」のが、有給休暇の原則だ。

なお、年次有給休暇を取得した労働者に対して不利益な取り扱いをするのは、労働基準法で禁止されている。例えば、有給休暇を取得した労働者の賃金を減額(精皆勤手当の不支給、賞与の減額など)したり、昇進できなくしたりすることは認められない。

もし有給休暇をめぐってトラブルになりそうな時は、労働基準監督署に相談するとよいだろう。

※出典:厚生労働省「私の会社では有給休暇を取得すると賞与の査定にあたってマイナスに評価されてしまいます。会社は有休を取得しなかっただけ多く働いたのだから当然と言っていますが、これは法律上問題ないのでしょうか。」

会社に「理由」を求められたらどうすべきか

有給休暇の申請にあたって、勤務先から理由を求められるケースがある。中には、書面で申請書を提出するケースもあるため、未然にトラブルを防ぐための伝え方を知っておくとよいだろう。もちろん、理由を伝える必要はないこと、「私用」で問題ないことが前提のうえで、理由を求められた時に穏便に済ませる伝え方は以下のとおりだ。

  • 通院する
  • 家庭事情がある(家族の病院の付き添い、子どもの学校関連など)
  • 冠婚葬祭の準備がある
  • 行政の手続きを行なう

いずれも、正当な理由があり事業主からすると「ケチを付けづらい理由」だ。総じて「私用」にまとめられるだろう。

なお、有給を申請する際に、事業主が労働者に対して取得理由を聞くこと自体は違法ではない。理由を示さないことで有給の申請を認めないケースや、理由次第で有給の申請を認めないケースは違法となる。

勤務先によっては、特段悪意はなく過去の慣例から有給を取得する理由を求めているケースも考えられるだろう。何度も言うが、いずれにしても「有給申請にあたって理由を示さなければいけないというルールはない」「有給休暇は理由を問わず取得できるもの」という前提は押さえておこう。

例外もある?有給休暇と「時季変更権」

原則として、労働者は好きなタイミングで有給休暇を取得できる。ただし、例外として「事業の正常な運営を妨げると具体的・客観的に判断される場合」は事業主は有給休暇の時季を変更できる。これを「時季変更権」という。

例えば、複数の労働者が同日に有給休暇を取得して企業活動を行なえない時や、納期がひっ迫している時が考えられる。ただし、日単位での請求を時間単位に変えたり、時間単位での請求を日単位に変えたりすることは認められていない。

なお、事業主が時季変更権を行使した場合でも、「事業の正常な運営を妨げる」事由が消滅したあとは、すみやかに休暇を与える必要がある。あくまでも例外的な取り扱いではあるが、「希望した日に有給休暇を取得できるとは限らない」点に留意しよう。事前に、有給休暇の取得が難しい詳細な理由を確認しておくとよいだろう。

まとめ

有給休暇は労働者に当然与えられた権利で、理由を問わず取得できるのが一般的なルールだ。時季変更権という例外はあるものの、基本的には労働者が好きなタイミングで、理由を問わず取得できる権利である点は押さえておこう。

勤務先によっては、有給休暇の申請にあたって理由を伝える必要がある。安心して働くためには、有給休暇の基本的なルールを踏まえつつ、トラブルになりづらい理由を伝えることが大切だ。理由を伝える際に悩んでいる方は、こちらの記事を参考にしながら、うまく対処していこう。

文/柴田充輝
厚生労働省、保険業界、不動産業界での勤務を経て独立。FP1級、社会保険労務士、行政書士、宅建士などの資格を保有しており、特に家計の見直しや資産運用のアドバイスのほか、金融メディアで1000記事以上の執筆を手掛けている。

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