対戦型カードゲームで森林づくり 若手職員が考案、注目集める

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対戦型カードゲーム「ZORING」を考案した盛岡森林管理署の谷沢風音さん=岩手県庁で2024年4月16日午前11時41分、釣田祐喜撮影 拡大
対戦型カードゲーム「ZORING」を考案した盛岡森林管理署の谷沢風音さん=岩手県庁で2024年4月16日午前11時41分、釣田祐喜撮影

 森林や林業の魅力を楽しく学んでもらおうと、岩手県で勤務する林野庁の若手職員が考案した対戦型カードゲームが学校関係者の注目を集めている。子どもたちがプレーしながら主体的に学べる仕掛けで、県外の小中学校から「授業で使いたい」などと問い合わせが寄せられているという。

 ゲームの名前は「造林(ZORIN)」と進行形の英語表現(ING)を足した造語「ZORING(ゾーリン)」。4~5人で、98枚のカードを使って遊ぶ。

楽しみながら森林づくりについて学べる対戦型カードゲーム「ZORING」=岩手県庁で2024年4月16日午前11時38分、釣田祐喜撮影 拡大
楽しみながら森林づくりについて学べる対戦型カードゲーム「ZORING」=岩手県庁で2024年4月16日午前11時38分、釣田祐喜撮影

 カードには林業に必要な行程が一つずつイラストで描かれた「事業」、病虫害やシカの食害など、森に被害をもたらす問題が描かれた「被害」、虫の被害を防ぐ薬や、シカから守るハンターが描かれた「対策」――などの種類がある。

 プレーヤーはカードの山から1枚ずつ順番にカードを引いていく。地面を整える「地拵(ごしらえ)」から、伐採を意味する「主伐(しゅばつ)」までの六つの行程の事業カードを全て手元にそろえることを目指す。

対戦型カードゲーム「ZORING」のルールについて説明する東北森林管理局のホームページ=スクリーンショットより 拡大
対戦型カードゲーム「ZORING」のルールについて説明する東北森林管理局のホームページ=スクリーンショットより

 対戦では「被害」カードで他のプレーヤーの事業を後退させることもできる。これに対し、シカを倒すハンターや、虫の害を予防する薬の「対策」で防御する方法もある。攻防を繰り広げながら、残りのカードがなくなった時点で最も事業を進められたプレーヤーが勝ちとなる。

 考案したのは林野庁東北森林管理局盛岡森林管理署の谷沢風音さん(25)。小中学生に林業の説明をする機会があったが、一方的に話すだけにとどまっていたという。「子どもたちが主体的に学べるようにしたい」と考え、岩手県大船渡市の事務所に所属していた2023年6月ごろにゲームを思いつき、カードを作り始めた。

 谷沢さんが同9月から市内の小中学校で試したところ「(林業の)流れを知ることができて良かった」と好評だった。山火事や集中豪雨によって事業がゼロに戻ってしまう「被害」カードもあり、子どもから「災害は怖いものだと知った」などと自然の厳しさを実感したような感想も寄せられたという。

 好評を受け、東北森林管理局は4月16日、ホームページ(https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/sidou/fukyu/zoring.html)に詳しいルールや活用事例などを掲載した。カードの画像データをダウンロードできる他、貸し出しのための問い合わせも受け付けている。【釣田祐喜】

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