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自民党に対する批判は高まるばかりなのに、立憲民主党への期待は相変わらず低いまま。泉健太代表は次期衆院選での政権奪取を目指しているが、展望が開けているとは言い難い。かつて同じく野党第1党を率い、歴史的な政権交代を経験した「あの人」は現状をどう見ているのだろう。【金志尚】
<主な内容>
・民意の受け皿になる野党、見当たらず
・政治家として 「実力不足だった」
・重視した日本は「東洋の国」
・有権者にとって意味のある選択肢とは
東京都内の事務所に足を運ぶと、懐かしい顔が待っていた。旧民主党政権の初代首相、鳩山由紀夫さん(77)だ。政界引退から11年あまり。さすがに白髪が増えた印象だが、見た目は大きく変わっていない。
「自民党は自ら下野を」
まずは今の政治状況をどう思うか聞くと「本来ならばですよ。こういう状況なら、自民党は自ら下野すべきだと思うんですよね」と返ってきた。
派閥ぐるみの裏金づくりを長年続けておきながら、言い訳ばかり。そんな姿を見せつけられれば、指摘はごもっとも。だが野党は野党で、そろって支持率が低迷。民意の受け皿になりそうな政党は、見当たらない。
この点に水を向けると、鳩山さんの表情が少し曇った。「自民党に問題があってもかつてのことがよみがえって、『でも野党よりマシだろ』みたいな。そういう漠然とした見方が世の中に広まっていると思います」
悔やむ「実力不足」
かつて、とはもちろん旧民主党政権時代のこと。2009年の衆院選で戦後初となる本格的な政権交代を果たした旧民主党だが、ふたを開けると未熟な政権運営が目立った。象徴的だったのは、沖縄県の米軍普天間飛行場を巡る迷走だろう。
鳩山さんは移設先を「最低でも県外」と明言しながら、肝心の代替地に明確なあてがなかった。鹿児島県徳之島など複数の候補地は挙がったものの結局、従来案の辺野古に戻ったのは周知の通りだ。
「沖縄の人たちに希望を与えたのに大きな失望に変えてしまったことを、今でも申し訳ないと思っています。ただ私は、それこそ何度も沖縄に行くにつれ『最低でも県外、できれば国外に持って行ってもらいたい』というのが、ほぼ(県民の)総意に近い形で聞こえてきたものですから……」
罪滅ぼしも込め、議員バッジを外してからも沖縄には足しげく通い、地元の人たちの話に耳を傾けてきたという。鳩山さんは、あの発言が間違っていたとは今も思っていない。ただ外務省や防衛省、さらには米国を相手に方針を覆すには、立ち回り方を含め政治家として「実力不足だった」と悔やむ。
「日本の『ゆがみ』を解き放とうと粋がっただけに、反発を受けたわけですよね。そこをもっと、うまくやるべきだったなという思いが大変強いですよね」
独自の外交姿勢を示したが……
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