クロダイ食べてノリ守ろう 「のり弁当」で食害対策とおいしさPR

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岡山県漁業協同組合連合会などが考案した、クロダイを使ったのり弁当「岡山海苔弁『黒』」=2024年4月10日、今東理恵撮影 拡大
岡山県漁業協同組合連合会などが考案した、クロダイを使ったのり弁当「岡山海苔弁『黒』」=2024年4月10日、今東理恵撮影

 岡山名産の養殖ノリを食べてしまう「クロダイ」(チヌ)を食材に使ったのり弁当の販売を、岡山県漁業協同組合連合会などが始めた。日本各地でクロダイによる養殖ノリの食害が深刻化しており、漁業関係者は対応に苦慮している。同連合会の丹下雅史・海苔(のり)課長(38)は「クロダイをおいしく食べて、ノリを守りたい」と意気込む。

 近年、日本近海でクロダイの生息数が増えているとみられ、海水温の上昇が一因と考えられている。クロダイは食欲が旺盛なため、各地で養殖ノリの生産量が激減している。しかし、生態は分かっていないことが多く、効果的な対策が見つかっていないのが現状だ。

 透明感のある白身のクロダイは、瀬戸内では高級魚として親しまれてきたが、食害を引き起こす「悪者」のイメージもあって、あまり食べられなくなった。そこで、「クロダイの本来の魅力を伝えて需要を増やせば、ノリの食害も減るのでは」と考えた同連合会が昨年8月、のり弁当作りに乗り出した。

 同連合会は、岡山県内で弁当や惣菜を製造する三好野本店やジェイアールサービスネット岡山に協力を求めた。弁当の名前は「岡山海苔弁『黒』」。黒をコンセプトに、クロダイとのりに加えて、「作州黒(さくしゅうくろ)」と名付けられている岡山名産の大粒黒豆を食材に使うことにした。

 弁当は、冬の漁期が始まってすぐに収穫した柔らかく風味の良い「岡山若のり」が、岡山県産のあさひ米に乗せてある。そこに、竜田揚げにしたクロダイ、煮豆、牛肉しぐれ煮や森林鳥の照り焼きなど岡山県産の食材を使ったおかずが並んでいる。

 丹下・海苔課長は「増えすぎたクロダイを食べることは海の生態系を守ることにもつながる。おいしいクロダイとのりを食べて、瀬戸内の魅力を知ってほしい」と話す。

 弁当は、JR岡山駅の「おかやま駅弁さんすて」など岡山駅構内の複数の店舗で販売されている。税込み1480円。【今東理恵】

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