痴漢目撃…「大丈夫?」の声を 埼玉県警と高校生8人が啓発動画

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真剣な表情で動画を視聴する浦和麗明高校の生徒たち=さいたま市浦和区の同校で2024年4月16日、加藤佑輔撮影 拡大
真剣な表情で動画を視聴する浦和麗明高校の生徒たち=さいたま市浦和区の同校で2024年4月16日、加藤佑輔撮影

 埼玉県警鉄道警察隊は、幅広い世代に痴漢防止を訴えようと、ミニドラマ形式の啓発動画を制作し、ユーチューブの県警公式チャンネルで公開を始めた。出演するのは浦和麗明高校(さいたま市浦和区)の演劇部員8人。熱のこもった演技で被害撲滅を訴えている。

 脚本は、被害者からの相談を日々受けている鉄道警察隊が執筆。同校が、県の「鉄道痴漢犯罪防止連絡協議会」に加盟していたことから、出演を依頼した。車両や駅の撮影などで埼玉高速鉄道とJR東日本も協力した。

 動画は約4分で、タイトルは「have courage~小さな勇気は大きな安心となる~」。痴漢犯罪防止講話の受講中、居眠りをしていた男子高校生が夢の中で被害を目撃し、痴漢犯罪に対する意識が変わっていく様子をドラマ化した。動画の最後にはナレーションで「『大丈夫ですか?』 その言葉で救われる人がいる」と県警からのメッセージを紹介している。

浦和麗明高校の生徒たちが出演した痴漢犯罪防止の啓発動画のサムネイル=埼玉県警提供 拡大
浦和麗明高校の生徒たちが出演した痴漢犯罪防止の啓発動画のサムネイル=埼玉県警提供

 16日には、同校で動画の視聴会が開かれ、生徒36人が参加した。出演した演劇部3年の三瓶(みかめ)由騎さん(17)は「痴漢を目撃した人が被害者に声をかけるきっかけとなればうれしい。(動画で)一つでも痴漢被害が減ることを願っている」と語った。

 鉄道警察隊によると、昨年寄せられた電車内の痴漢被害の相談は218件。特に電車通学・通勤に慣れていない新入生や新入社員が多い4~6月ごろは被害が多発し、被害は朝のラッシュ時間帯に集中するという。

 同隊の佐藤和則隊長は「痴漢は心に深い傷を与える卑劣な犯罪。痴漢被害を当事者だけの問題と捉えるのではなく、社会全体で手を差し伸べ、被害者を無くしていく機運が高まってほしい」と話した。【加藤佑輔】

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