コイの米国帰りが存在感を示した。広島秋山翔吾外野手(36)が今季初の1番起用に2安打含む4出塁で、今季最多となる15安打11得点の打線をけん引した。打撃不振の中、慣れ親しんだ打順で持ち味を発揮。今季初盗塁まで記録し、連敗ストップに大きく貢献した。スタンドには、西武時代から続ける「ひとり親家庭の親子」を招待。筒香の復帰に沸いていたDeNAを沈め、自身36歳の誕生日を勝利で祝った。

   ◇   ◇   ◇

バースデーソングを背に、1回の打席に向かった。今季初めて1番に入った秋山は、積極的に振った。ファウルで粘って四球を選び、DeNAジャクソンの出はなをくじいた。攻めた結果の四球に、味方打線は2四球2安打を重ねて3点を先制。連敗の悪い空気を断ち切った。さらに2回は左前打に、初盗塁も決めた。3回は2死満塁から追い込まれながらも、2球ファウルで粘って押し出し四球で追加点をもぎ取った。

「(カウント)スリーツーになってから四球を取れない、ヒットにならない感覚があった。今日は2つスリーツーから四球を取れたので、ちょっといい方向にいくんじゃないのかなという球の見え方、入っていき方だった」。

慣れ親しんだ1番で打者としての感性を研ぎ澄ませた。7回にも右前打を放ち、2日ヤクルト戦以来のマルチ安打とした。試合前まで打率2割と低調だったが「まっさらな状態で打席に入らせてあげたかった」という新井監督の思いに結果で応え、前戦まで1試合平均2・2得点だった打線のけん引役を担った。

対するDeNAは筒香の復帰が決まった。秋山も大リーグでのプレーをへて、日本球界に復帰。広島移籍3年目の今季は、西武時代ほとんど経験のない左翼を主戦場とする。「西武からの移籍だったら戸惑っていたかもしれないけど、アメリカで試合に出ていたときはレフトだった。アメリカに行った経験は、そこに生きてるなとは思います」。打撃の調子が上がらない中でも、米国で培った左翼守備で貢献してきた。

スタンドには「ひとり親家庭の親子」を招待した。自身もひとり親家庭で育った経験から、西武時代から続けている。「いい仕事をして勝つ試合はやっぱり覚えていると思うし、活躍した試合も覚えてくれていると思うので、それが両方ともかなうように頑張りたい」。この日誕生日を迎えた36歳は宣言通りに塁上を駆け回り、チームとファンを笑顔にした。【前原淳】

▽広島久保(途中出場から8回にプロ初安打)「やっと打てたという感じです。あとは勝ちの試合のマツダスタジアムで打ててすごくうれしいです。(記念球は)両親にあげようかなと思います」

▽広島坂倉(2号ソロを含む今季初猛打賞)「今日は今日で。明日が一番大事になる。(本塁打は)今シーズン初めて芯に当たったので良かったです」

【関連記事】広島ニュース一覧