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JR・EX予約カードの矢印デザイン「トラップすぎる」複雑な事情…JRに聞いた

文・構成=Business Journal編集部
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JR「EX予約カード」
EX予約公式サイトより

 JR東海、JR西日本、JR九州が運営する有料会員制のインタネット予約サービス「エクスプレス予約(EX予約)」について、「カードのデザインがまぎらわしい」と話題になっている。

 EX予約の会員になると、専用の割引商品をパソコンやスマホから予約・購入できる。特急券のみの「e特急券」や、特急券と乗車券が一体となったEX予約サービスを、通常よりも安価に購入でき、しかも繁忙期でも割安の会員価格のままである。また、通常は1回のみに限定されている予約変更が、発車時刻前まで何度でも手数料無料で可能になる。

 そして乗車の際は、EX予約専用ICカードまたは交通系ICカードを改札にタッチすることで、“チケットレス”乗車できる。

 今回話題になっているのは、そのEX予約専用ICカードだ。

JR・EX予約カードの矢印デザイン「トラップすぎる」複雑な事情…JRに聞いたの画像2

 カードの券面中央に大きく左から右方向に流れるようなデザインがある。だが、左上を見ると、小さく左向きの矢印がある。このカードについて、SNS上で「EX予約のカードがこの見た目でカードの挿入方向が逆なのトラップすぎる、何か理由がある?」とのつぶやきが投稿されると、たちまち拡散されて、わずか1週間で180万回以上の表示、リポストも4000回を超えるほど大きな話題となった。

 あるUXデザイナーは、このデザインが物議を醸している件について、「起こるべくして起きている騒動」との見方を示す。

「人間の認知として、矢印の方向に挿し込むという行為は、日常生活の中で浸透しているルールのようなものです。EX予約カードは、右方向に流れるような図形が大きく中央に描かれているので、右方向に挿し込むと認知してしまうのは、ある意味で当然といえるでしょう。

 では、なぜこのようなデザインになったかといえば、このカードは券売機に挿し込むこともできますが、改札機にタッチすることがメインの使い方となっています。そのため、JRの関係者やデザイン担当の方は、券売機などへの挿入をあまり意識していなかったのではないでしょうか。仮に、券売機に挿入することが多く想定されていたのであれば、このカードを実際に発行する前にデザインを再考していたはずです。

 おそらくこの左から右に流れるようなデザインは、EX予約カードのためにつくられたものではなく、EX予約サービス全体のロゴとして考案されているのでしょう。デザインを変えられないのであれば、たとえばICチップの配置を逆にするなど、右方向に挿し込むことができるようにすべきだと思います。

 一般的に、左向きに挿し込むカードが多いのは事実ですが、意外と右向きでも不便はないはずです。むしろ、新幹線に乗る際などは、一刻を争うような慌てている場面も想定されますから、一瞬で見て挿入方向を判断できるデザインであることのほうが重要です。デザイナーとしては、ユーザーの利用場面を想定してデザインするべきですが、そういう意味で配慮が足りないデザインかなと思います」

 時間的に余裕のない場面であれば、ぱっと見た瞬間のイメージでカードを挿入してしまうことは、想像に難くない。それが、今回の投稿につながったのではないだろうか。また、前出のデザイナーは、EX予約カードについて、もうひとつ別の見解を示す。

「実はEX予約の会員になると、3枚のカードが送られてくるんです。1枚は今話題になっているEX-ICカードで、もう1枚は会員証、最後はクレジットカードです。クレジットカードについてはわかるのですが、EX-ICカードと会員証の使い分けがわかりにくいのです。おそらく、EX-ICカードは改札にタッチして乗車、会員証は券売機に挿入して乗車券などを購入する、といった使い分けを想定してつくっているのだと思いますが、EX-ICカードも券売機に挿入して乗車券を購入できるのです。

 デザインについても同様ですが、利用者目線で考慮されていないように思えます。同じような場面で使うカードなのに、なぜ1枚に統合できないのでしょうか。事業者側にも言い分はあるのでしょうが、ここにも配慮の足りなさがうかがえます。私はUXデザイナーですが、デザインする際には、ユーザーがどのような場面で、どのような心理状況で使う製品なのか、ということを考慮します。EX予約のカードに関しては、そのあたりをもっと考えてほしいなと感じます」

 このデザイナーの見解も踏まえ、JR東海の広報部に話を聞いた。

――EX予約のカードデザインがまぎらわしいと話題になっていますが、デザインの意図や狙いについて教えてください。

広報担当「EX予約のイメージカラーである青を使い、新幹線のスピード感をイメージしたものです。挿入方向は別にマークでお示ししています」

――挿入方向を間違えやすいとの指摘もありますが、デザイン変更は検討しているのでしょうか。

広報担当「現時点で、デザイン変更は検討していません」

――実際に挿入して使う場面は、どのようなものがあるのでしょうか。

広報担当「IC乗車が基本であり、発券する場合もQRコードでの受取が可能であるため、  基本的にはありませんが、EX-ICカードを券売機に挿入して発券することも可能です」

 このJR東海の「IC乗車が基本」とする見解に、前出のデザイナーは、障がい者を軽視しているとの見方を示す。

「障がい者が運賃の割引を受けて新幹線を利用する際に、紙の乗車券を窓口で発行する必要があるのですが、その場合、乗車券と特急券が一体でないため、EX-ICのタッチで改札を通過することができません。

 つまり、EX-ICを利用した新幹線予約の場合、特急券は『e特急券』というものを選択し、券売機での発券となります。

 JRさんのコメントを拝見して『タッチが基本』というのは、通常の利用であればその通りなのですが、割引を受けようとするとタッチで利用できないので、“割引(障がい者)利用者の利便性のことは二の次”という印象を受けました」

 JR東海としては、IC乗車、すなわち改札にタッチすることが基本的な使い方で、券売機に挿入することは、あまり考慮していないといえる。実際にネット上では、EX予約の会員たちから、券売機にEX予約カードを挿入して券を購入できることを知らなかった、という声が多数上がっている。確かに、券売機で乗車券を買わなくても乗車できる、ということがEX予約の趣旨であり、そもそもEX予約カードを券売機に通す場面は多くないのかもしれない。それでも、もう少しさまざまな利用者を想定した配慮があってもよかったのではないだろうか。

(文・構成=Business Journal編集部)

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