受動喫煙、特有の遺伝子変異でがん悪化か 煙による炎症で

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 受動喫煙が引き起こす肺がんのメカニズムの一端を明らかにしたと、国立がん研究センターなどのチームが16日発表した。喫煙者とは異なるタイプの遺伝子の変異が肺にたまり、がんの悪性化を促進している可能性があるという。

 受動喫煙は、肺の末梢(まっしょう)にできる肺腺がんを誘発しやすいことが知られていたが、メカニズムはわかっていなかった。

 チームは、同センター中央病院(東京都中央区)で肺腺がんの手術を受けた主に50代以降の女性で、非喫煙者(291人)と喫煙者(122人)の計413人について、切除したがんのゲノム全体の変異数やその特徴を調べた。

 すると、非喫煙者291人のうち、受動喫煙があった213人と受動喫煙がなかった78人を比べると、あった人の変異の割合が有意に高かった。

 変異のタイプを調べると、「APOBEC型」と呼ばれる変異の割合が、受動喫煙があった人は15・6%あり、なかった人(7・32%)に比べて目立った。

 一方、喫煙者では「たばこ型変異」と呼ばれる、たばこに含まれている発がん物質による直接的な変異がほとんどだった。

 APOBEC型は、たばこの煙を吸って起こる炎症に伴ってできる変異。肺にたまると、初期のがん腫瘍ができた際、悪性化を促進することが過去の研究でわかっていたが、実際の患者でわかったのは初めてという。

 記者会見した国立がん研究センターの河野隆志ゲノム生物学研究分野長は「女性だけに限ったのは受動喫煙の環境を合わせるためだが、男性でも同様のことが言えると考えている」と話した。

 成果は、2月19日に国際専門誌「ジャーナル・オブ・ソラシック・オンコロジー」に掲載された。【渡辺諒】

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