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「10日ほど前から準備し、イランの攻撃を打ち負かすことができた」。イランによるイスラエルへの攻撃では、計300発以上の無人航空機(ドローン)やミサイルが撃ち込まれたが、イスラエルは米軍などの支援を受けて「99%」を迎撃した。防衛に成功した背景には何があったのか。米政府高官が14日、報道陣に内幕を明かした。
米国は「イランが大規模な攻撃を準備している」との情報を把握して間もなく対応に着手した。バイデン大統領の指示のもと、イスラエルのほか、パートナー国と連絡を取り合いながら想定される攻撃に備えた。高官は「もしこの攻撃が成功すれば、紛争が制御不能なほどに拡大しかねないと肝に銘じてきた」と振り返る。
バイデン氏は一日に何度も最新状況の報告を受けた。8~14日の岸田文雄首相の訪米中も、行事の途中でオースティン国防長官がバイデン氏に駆逐艦などの追加配備について説明し、バイデン氏がその場で承認することもあった。
またバイデン氏がイスラエルのネタニヤフ首相にパレスチナ自治区ガザ地区での人道状況の改善を強く迫った4日の電話協議でも、最初の議題は「イランによる攻撃」だった。米国はこの頃には、事前情報を持っていたとみられる。
攻撃が始まったのは米東部時間13日午後。イランだけでなく、イランの代理勢力が拠点とするシリア、イラク、イエメンからもドローンなどが発射された。
高官は攻撃について「中距離弾道ミサイル100発以上、巡航ミサイル30発以上、ドローン150機以上だった」と説明。イスラエルと米国のほか、英国やフランスなども防衛に加わった。迎撃はイスラエル領空だけでなく、周辺国の上空でも行われ、「交戦範囲はかなり広かった」という。
地中海東部に展開する米軍の駆逐艦2隻が弾道ミサイル4~6発を破壊し、米軍機が70機以上のドローンを撃墜した。イラク北部でも米軍の地対空ミサイルが弾道ミサイル1発を迎撃したが、大半の弾道ミサイルはイスラエルの防衛システムが撃ち落とした。
バイデン氏は滞在していた東部デラウェア州の別荘から急きょホワイトハウスに戻り、地下にあるシチュエーションルーム(作戦司令室)から情勢を見守った。「100発以上の弾道ミサイルがあと数分でイスラエルに着弾するという差し迫った場面」もあり、高官は「防衛が成功したと分かった時は安堵(あんど)した」と話した。
米国は国交がないイランとも、米国の利益代表となっているスイスを通じて意思疎通していたという。高官は、イランから攻撃の事前通告は「なかった」と明言する一方、イランから攻撃中に「これ以上の攻撃はない」と示唆するメッセージを受け取っていたことも明かした。【ワシントン松井聡】
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