セウォル号沈没事故から10年 遺族「苦しみ繰り返さないよう闘う」

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記者会見するセウォル号沈没事故の犠牲者遺族ら=ソウルで2024年4月15日午後3時35分、日下部元美撮影
記者会見するセウォル号沈没事故の犠牲者遺族ら=ソウルで2024年4月15日午後3時35分、日下部元美撮影

 高校生ら304人の死者・行方不明者を出した2014年の客船セウォル号沈没事故から16日で10年になる。犠牲者遺族らは15日、ソウル外信記者クラブで記者会見した。遺族会の金鍾基(キム・ジョンギ)・運営委員長は「私たち家族が経験した苦しみを再び繰り返さないよう、これからの10年も闘っていく」と述べ、事故の風化防止を訴えた。

 事故で当時16歳だった趙銀貞(チョ・ウンジョン)さんを亡くした、朴貞花(パク・ジョンファ)さん(57)は「銀貞は薬剤師になるのが夢だった。もし生きていたら、きれいな女性になっていたと思う。母と娘が手をつないで買い物をする姿を見る時、一番(他人が)羨ましく、寂しく感じる」と現在の心情を語った。

 金委員長は「地獄のような体験をし、この10年間、体を壊し、精神も疲弊した。だが、耐えてきたのは子供たちを救えなかった罪悪感と親として果たさなければならないことがあったからだ」と説明。22年10月にソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故について、「努力してきたことがあまりにもむなしく感じられ、予防できなかった政府に怒りを覚えた」とも述べ、国に対し安全社会の実現に向け更なる努力を求めた。

 セウォル号沈没事故を巡っては、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権が初動対応に失敗したと批判されて求心力が低下し、朴氏の弾劾訴追への素地を作った。この他、救助の遅れや船会社の安全を無視した船体改造など多くの問題が露呈し、安全管理が社会問題となった。

 検察当局は乗客の救助活動をせずに船から逃げたとして、遺棄致死罪などで船長や乗組員ら15人を起訴。15年11月に最高裁(大法院)は船長に対し、殺人などの罪で無期懲役を言い渡した。【ソウル日下部元美】

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