平日を楽しむヒントをくれるアルバム『weekday』で働く人に寄り添うーーゆいにしお「日常の中で、自分の好きなものを思い出すキッカケになれば」

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ゆいにしお 撮影=ハヤシマコ

ゆいにしお 撮影=ハヤシマコ

20代の生活を歌うシンガーソングライターのゆいにしおが、1年5ヶ月ぶりにメジャーデビュー2枚目のフルアルバム『weekday』をリリースした。TVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、 辺境でスローライフすることにしました』第2期OPテーマの「routine life」と、その英語バージョンを含む全11曲が収録された今作には、ゆいにしお作品ではお馴染みの水口浩次とHajime Taguchiをはじめ、A.G.O、春野、Chocoholic、Mori Zentaro、フレンズがアレンジャーとして参加した。自身も働く社会人であることから、同世代の女性を元気づけたいと音楽を生み出してきたゆいにしお。今作も仕事、恋愛、生活にと、「weekday」を懸命に生きるアラサー女性の心情や情景をリアルに解像度高く描き出し、寄り添い、さらに気持ちを前向きに後押ししてくれる作品となった。春の季節にもぴったりの1枚は、アラサー女性だけではなく、働くすべての人のに力を分け与えてくれる。

●「平日」にちなんだ作品が完成。亀田誠治からもコメントが到着●

ーー1stフルアルバム『tasty city』は「食」がテーマで、2ndフルアルバムの今作『weekday』は「平日」がテーマです。テーマを先に決めて曲を作っていかれたんですか?

テーマは決めてはいたんですけど、でも全然平日ではなくて。最初は「もっと強くなるためのアルバムを作ろう」というのがテーマだったんですよ。作っているうちに強さから色々ひも解いて、「平日」という形になっていきました。

ーー強さというのは、働く女性が日々を乗り越えるための活力になるような意味合いですか?

そうですね。見かけはそんなに強くなさそうでも、自分の中に芯を持って行動している女性の味方になれるアルバムが作りたいなと思っていました。

ーーどのようにして「平日」に辿り着いたんですか?

元々曲のモデルにしようと思っていた女の子がいて。2ndミニアルバム『She is Feelin' Good(2020年リリース)』でもその子をモデルに曲を書かせてもらっていて、その子が結構面白い人生を歩み始めてきたので、改めて彼女をテーマにした曲を書きたいなと思っていたんですけど、あまりにも面白い人生を歩みすぎた結果、心のキャパを超えて一旦お休みする時期に入ったんです。仕事がアイデンティティになるぐらい一生懸命仕事をしている子だったんですけど、その子にかけるなら「もっと強くあれ」という言葉よりは、日常で自分の好きだったものを思い出したり、仕事以外の面でも自分らしさを見つけていって、少しずつ健やかになるといいなと思って。それでだんだん日常にフォーカスした曲が増えていって、スタッフさんとも話し合って「平日」というテーマになっていきました。

ーーその中で今回は7人のアレンジャーさんを迎えられました。

たまたまご縁があって、A.G.Oさんと春野さん、Chocoholicさん、Mori Zentaroさんが所属していらっしゃるSTYRISM INC.という会社の方から「うちのアレンジャーと何か一緒に作ってみませんか」とお声掛けをいただいて。元々A.G.Oさんや春野さんのアレンジされた楽曲も聴いていたので、「是非」ということで。あとは水口(浩次)さんもHajime Taguchiさんも、ゆいにしおの楽曲をいっぱいアレンジしてくださってお世話になっていたので、やっぱりゆいにしおサウンドには欠かせない方々だなと思って、今回もお願いしました。

ーーどの楽曲をどの方にお願いするか、決まっている曲もあったんですか?

私の直感で「この曲はこの人じゃないかな」と言う時もあるし、迷ったら制作のスタッフさんが「この人がいいんじゃないかな」と提案してくれたり。明確なイメージがある時とない時がありますね。

ーー楽曲のストックはあまりないタイプだとおっしゃっていましたが、今回もできたデモをアレンジャーさんと相談しながら制作された感じですか?

今回もあまりストックはなく、その場その場で作っていくようなスタイルでした。

ーー難しかった点、逆にやりやすかった点はありました?

アレンジャーさんによって、私に任せる部分がどこまでというのが結構違っていて。例えば水口さんだとコーラスもバッチリ譜面に書き起こしていただくほど作り込んで「ここはこう歌ってください」と決まってるんですけど、「me&cat」のMori Zentaroさんだと、コーラスは私の方で入れたければ入れてもいいし、入れたくなければ入れなくてもいいぐらいの自由な感じでトラックを提供いただいて。初めてレコーディングをしながら思いつきでコーラスを入れていくこともあって、楽しかったです。

ーー今までとは違う制作体験もされたんですね。以前から歌詞の解像度がすごく高いと思っていて、今回また上がったと思いました。

上がりましたか?!やった(笑)。

ーー一言で情景や背景が思い浮かぶ楽曲が増えたのと、サウンドはちょっと大人っぽいけどバラエティに富んでいるなと思いまして。

今回『weekday』のリリースにあたって、関係者の方からコメントをいただいたんですけど、ゆいにしおバンドのバンマスのBunta Otsukiさんに「1st albumは”外行きモードな背伸び感や新鮮さ”が魅力だとしたら、今回は思わず「姉さんっ!」と言いたくなる力強さがある作品だね」とコメントをいただいて、その通りだなって。

ーー『LINE NEWS AWARDS 2022』で「NEXT NEWS賞」にゆいにしさんを選出した亀田誠治さんも、「聴く人みんなをウキウキ・ドキドキさせる魔法ポップ」とコメントを寄せておられましたね。

本当に嬉しい言葉をいただきました。

ーーコメントをもらってどんなお気持ちですか?

それこそ中学高校の時に東京事変をすごく聴いていて、もう自分のiPodの中の人だったので、私の曲を聴いてコメントまでいただけたことが、未だに信じられていないですね(笑)。

ーー亀田さんのプロデュースはまだ入られていないんですね。

いずれ。もっと精進して、期が熟したらお願いしたいです。

●なりふり構わず、わきまえずに進んでいこう●

ゆいにしお

ゆいにしお

ーー1曲目の「TWO HANDS」は、26歳になった時の感情を元に書かれたんですよね。

もうまさに、誕生日になった時に思いついた曲ですね。

ーー25歳と26歳では、感じるものが違いましたか?

最初はお誕生日会で両手で「26」とやろうとして「できない!」と思った時に明確な違いを感じたんです。25歳と言っても、20代前半にもちょっと足を突っ込んでる感じがしたので「まだアラサーじゃないよね」みたいな感覚があったんですけど、26歳は完全に言い逃れできないぐらい20代後半なので、そこでちょっと覚悟みたいなものがありました。

ーー<ママじゃない人生を進んでく>という一節が印象的でした。歌詞で伝えたかったことはありますか?

<ママじゃない人生を進んでく>というのは、2通りの解釈があるかなと思って。最初私は自分のお母さんと全然違う人生を歩んでいるという意味で書いたんですけど、その歌詞を読んで、今年パパになった友達から「俺はパパの人生を歩んでるなと思ってるよ」というメッセージがきて。「ママとしての人生」という意味合いで取る人もいるんだなって。読む人の状況で色んな解釈ができる歌詞なんだなと思って、書いて良かったなと思いました。

ーーそれぞれの人生の背景で捉え方が変わる。ゆいにしさんの歌詞は全部そうなのかなと思います。

結構この歌詞は、想いのままにわーっと書いた感じなので。あまりテクニック的なことはいつもよりは少ないんです。でも歌っていて、ただただ気持ち良い歌詞は書けたかなと思います。結構ガタガタな生活の歌詞ではあるんですけど(笑)。

ーー働く人ならあるあるというか、すごく共感できると思います。1曲目を「TWO HANDS」にした理由はありますか?

私は絶対に「TWO HANDS」が1曲目がいいと思ってたんですけど、スタッフさんは「別の曲が1曲目でもいいんじゃない」みたいな感じだったんです。でも意思表明的な曲を最初に持ってきたくて、一番自分の意思を伝えているのが「TWO HANDS」だったので、1曲目に持ってきました。

ーー2曲目は元気な「yyyymmdd」です。Excelでよく見かけるやつですよね。

そうそう。人によって「山田関数」と読む人もいるみたいで。

ーー「わきまえない」というところが、前回のインタビューでもお聞きしたギャルマインドに通ずるものがあるなと思いました。この曲はどんなキッカケでできましたか?

これは会社で仕事をしている時、まさにスプレッドシートを触っていてアイデアが思いついて。「yyyymmdd」って曲、意外とないかもと思って。「多分私しか作らないだろうな、しめしめ」と思って作り始めました(笑)。でも「yyyymmdd」という単語を使ってどんな曲を作ったらいいのか、結構悩んで。最終的に年月日構わず、なりふり構わず破天荒にわきまえずに進んでいこうみたいなメッセージになったのは、キッカケとかはなく、作っているうちに思い浮かんだ感じですね。

ーーなるほど。

でも「わきまえない」というのは、ちょっと理由があって。東京オリンピックの時に某会長が「あの方はわきまえてらっしゃるから」みたいな発言をして問題になったじゃないですか。その後「私はわきまえない」運動(SNSで「#わきまえない女」をつけた抗議のアクティビズムが興った)があって。その時は何も発言できなかったんですけど、2〜3年ぐらいどこか引っかかっていて、ようやくこの曲だったら気持ちが乗せられるかもと思って入れました。

ーー少し風刺的な一面もあるんですね。

あとは自分に結構向けてるところもあります。自分で曲を作って、最後に色んなチェックを挟むんですよ。歌詞もメロディーも、アレンジしてもらった後に聴いたり、色んなタイミングで考え直す瞬間があって、その度に「本気で良いと思ってますか?」と自分に問いかけて(笑)。「しょうがないかと思っちゃわないで、ちゃんとやりきろうね」という、自分へのメッセージもありますね。

ーーラップ的な歌い方にされたのは?

デモで弾き語りで作ってた時は、ただカッコ良い歌い方をしようというだけだったんですけど、A.G.Oさんからトラックが上がってきて、すごくカッコ良かったから「これはカッコ良いだけよりは、何かひとクセあった方がいいだろうな」と思ってレコーディングに臨んで。そしたら制作スタッフさんも「もっとわきまえてない感じを出そうか。ちょっと斜に構えてる感を出していこう」みたいなディレクションをしてくださったので、普段とはちょっと違う感じになったかなと思いますね。

●音楽ユニット・rough laughからの影響●

ーー「routine life」はTVアニメ『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました(以下、『真の仲間』)』の第2期OPテーマ曲ですが、タイトルはrough laughの同名のアルバムから取られたんですね。rough laughはずっと好きだったんですか?

中学高校ぐらいの時からすごく好きで、今でも聴くぐらい大好きなアーティストです。『真の仲間』の1stシーズンのテーマ曲も担当させていただいたんですけど、2ndシーズンもお話をいただいて。2ndシーズンはルーティという女の子が主人公で話が進んでいくということだったので、ルーティという言葉をどこかに入れたいと思って。で、それが「ルーティン」にもなるなと思って、「あ、rough laughで『routine life』というのがあったな」と自分の頭の中で繋がって、このタイトルになりました。

ーーそのアルバムの中に「my routin life」という楽曲も入っていますが、影響を受けたのはアルバムタイトルだけですか?

そうですね。多分コード感とかはすごくrough laughに影響を受けてるんですけど、直接意識したというよりは、何となく影響を感じるなぐらいの雰囲気で、「routine life」だけいただいた感じですね。

ーーrough laughのどんなところをリスペクトしていらっしゃいますか?

ちょうど渋谷系の流れからJ-P0Pに向かう過渡期にいたアーティストかなと思うんですけど、rough laughのデビュー年が私の生まれた1997年で。すごく評価されたわけじゃなかったけど、でも多分ずっと聴かれていくポップスの基盤を作ったアーティストだと思うので、すごく尊敬してますね。

ーー歌詞はアニメの内容と日常生活を盛り込んで作った感じですか?

今は安定してるんですけど、ちょっと私の浮き沈みが激しかった時期があって、頑張れなくなった自分を想像するのがすごく怖かったんですね。「もう音楽もできなくなっちゃったらどうしたらいいんだろう」と思ったんですけど、 『真の仲間』でルーティが勇者としての役割を捨ててスローライフを送っていく姿に、今までの自分のアイデンティティだったものを捨てても、新しい人生を歩んでいけるという勇気をもらって。今回ルーティが私を後押ししてくれたように、私もみんなを後押しできるような曲を書きたいなと思って「routine life」を作りました。

ーー<たかをくくっていたの>には、声優の高尾奏音さんの苗字を入れたんですね。

はい。声優さんの名前を入れるのは1stシーズンの時からやってたんですけど、今回も入れられて、しめしめと思ってます(笑)。

ーータイアップだけど、ちゃんとゆいにしおサウンドも歌詞の世界観も表現されていて。そのバランスは意識したりされますか?

基本的にはお任せしていただくことが多いので、そんなに意識せず、ゆいにしおらしさは大事にしつつ。せっかく「ゆいにしお」にお願いしてもらっているので、良いバランスを見つけようとはしていますね。それでも「ゆいにしお6:物語4」のバランスにはなってるかもしれないと思います。

ーーアルバムの最後には「routine life(English Ver.)」が収録されていますね。

これはスタッフさんのアイデアなんですけど、『真の仲間』の1stシーズンで曲を書かせていただいてから、海外のリスナーさんがすごく増えて、YouTubeのコメントもほとんど海外リスナーの方になったりしたんです。アニメって本当に偉大だなと思って。今まで日本語で歌詞を書いて、YouTubeの字幕をつけてもらうことはあったけど、英語という共通言語で共有できたらきっといいよねということで、今回英語バージョンを録らせてもらいました。

ーー英詞はどのようにされたんですか?

私がバンドをやっていた時に共演した、For Tracy Hydeというバンドのスガアズサさんが、英語が喋れて英詞も書けることを知っていたので、面識がすごくあるわけじゃなかったんですけど、今回お願いしました。

ーー英詞で歌う難しさはありました?

すごく難しかったです。

ーーメロディはそのままで、言葉が増える感じですよね。

やっぱり英語は1音に1単語入れられるのが最大の特徴かなと思うので。まず口の周りの動きを良くするために、ぶつぶつ呟く日々でした(笑)。洋楽をカバーしていたのでいけるかなと思ったんですけど、いきなり自分が原曲の演奏になるとまた違って。だから発音も1つずつ調べていくのが結構大変でした。でも、すごく歌いやすいように訳詞をしてくださったことは伝わって。「これは日本語の口の開きに近い言葉にしてくれたんだろうな」と思いました。

●BPM77.98で表現された、繊細で微妙な恋心●

ーー「さくら」は歌詞が良いですね。<回せない 生活 経済 気 洗濯物 のばせない 納品>が共感できすぎて。

納品は伸ばせないですから(笑)。

ーー日常と恋心をうまく描いてらっしゃるなと。桜が好きな人に連絡する口実なのがリアルですね。相手の心に誰かがいるなというのは、わかっちゃいますよね……。

匂わせてますよね。「誰かと比べて言ってるな、これ」って、ほんとわかるんですよね。

ーーそしてそれに慣れていき、相手には違う子がいるとわかりながらも「桜を見に行こう」と誘う、と。

むしろそれを見ない強さがあって、すごいなと思いますね(笑)。

ーー以前曲ごとに物語を作って歌詞を書くとおっしゃっていましたが、「さくら」に関しては「こういう主人公がいて、こういうシチュエーションで」と決めて書かれたんですか?

見ているのは私の景色なんですけど、ペルソナを立てた部分はあって。社会人1年目が見る桜と、社会人4〜5年目ぐらいで見る桜って、多分全然違う景色だろうなって。4〜5年目の桜ソングは多分あまりないんですよ。

ーー確かに。

「桜咲いたな〜、自分のフレッシュさはどこにいったんだろうな〜」みたいな。そういう主人公から見た桜の曲を書きたいなと思って作った感じですね。

ーー春野さんにアレンジをお願いした理由は……? 彼自身の歌声のような柔らかさを感じる楽曲だなと思いました。

結構前に読んだインタビューなのでだいぶあやふやなんですけど、春野さんはブランドの世界観を作り上げるかのように曲を作っているとおっしゃっていて。多分物語を見てアレンジすることが得意なんじゃないかなと思ったので、情景描写の多いこの曲を春野さんにお願いしたいと思いました。しかも春野さんの独特のこだわりが垣間見えて。BPMが77.98という。

ーーそんな細かい数値のBPMがあるんですか?

私もそんなBPM刻めるんだって驚きました。77でも78でもない、微妙な繊細な心情をBPMでも表してくれてたんだなって。レコーディングの時に全然BPM合わないぞとなって。でもそのルーズな感じが曲の世界観に合ってるんだなと思って、職人魂を感じました。

●お守りのような、言葉と歌●

ゆいにしお

ゆいにしお

ーー「アイシャドウ」は、女子人気がある曲じゃないでしょうか。

特にシンガーソングライターの女性が気に入ってくれてるのかなと思います。

ーー弾き語りを真ん中に挟んだのは、アルバムの流れを意識してですか?

最後の方でもいいかなと思ったんですけど、それだと弾き語りなのでちょっとボーナストラックっぽくなっちゃうよねということで、ちゃんと作品の一部にしてあげたかったので、ど真ん中に入れました。

ーーなるほど。「底見えコスメ」を描いていますが、底が見えるのはポジティブなイメージなんですよね。シンプルにこの歌詞はどうやってできたんですか?

この曲はほんとに自分が結構どん底の気分の時に作ったので、底に落ちても這い上がっていく強さがこのアルバムには必要だろうなと思って。ちょっと光が見えているような、あまり重いテーマにしすぎたくなかったので、底だけどポジティブな底と言ったら「底見えコスメ」なのかなと思いついて、そこから広げていきました。

ーー大人の女性の歌詞ですね。

「泣いちゃったけどキラキラしてる。いえーい」みたいな(笑)。「負けない」みたいな感じですね。

ーーゆいにしさんの歌詞の女性は、底に強さが感じられますよね。

ここ最近の私のテーマが「負けへんで」なんです。

ーー関西弁!

元々は「OVER THE SUN」という、ジェーン・スーさんと堀井美香さん、2人の女性がやられてる私の大好きなPodcast番組があって、その番組でのパワーワーズが「勝ちにはいかないけど負けへんで」。その言葉にハッとして「落ち込んでも勝たなかったとしても、負けなければいいんだ」と思ってからは、結構立ち直る速度も早くなった気がします。

ーー実際落ち込んだ時に言ったりしますか?

道路で雨が降ってる時に自動車がバーンと来て、ビシャーとなった時に「負けへんで!」と言ったり(笑)。そんな言葉があるだけでお守りになるなと思います。

●同世代女子だけでなく、色んな人に届くアルバムになった●

ーー「おいしい温度」は、フレンズのバンド全体でアレンジしてもらったんですか?

フレンズの皆さんに入れてもらいました。 私が元々フレンズが大好きだったんですけど、マネージャーさんの繋がりもあってお願いできる機会ができたので、是非ということで今回お願いしました。ボーカルのおかもとえみさんにも、コーラスやキーボードを入れていただきました。

ーー制作中のエピソードはありますか?

実際にお会いすることなく今回できたんですけど、私のデモを忠実に聴いていただきながらも、すごくフレンズらしさがあるのが嬉しかったですね。フレンズの一員になれたかのような、でもゆいにしおの曲で嬉しかったです。おかもとえみさんのコーラスがすごく可愛いんですよね。キュートさがより足された感じがして。これまでコーラスを人に歌ってもらうことはあまりなかったので、自分以外の女性の声がコーラスに入ることで、より色んな人格が感じられて良いなと思いました。シンガーガーソングライターだとやっぱり「その人」になっちゃうんですけど、彩り豊かになりましたね。嬉しかったです。

ーーそしてリード曲は「BFF=Best Friends Forever」ですね。

「TWO HANDS」「routine life」が先行シングルになることは決まってたんですけど、あと1曲、リード曲を決めるのが本当に難航して。「BFF」か「yyyymmdd」どっちにするか。はたまた「さくら」もありだし、「おいしい温度」も良いよねってすごく迷って、最終的に制作のスタッフさんと「「BFF」と「yyyymmdd」どっちにする?せーのでお互い言いましょう。せーの!」で2人とも「BFF」を選んだので、悩みながらもこの曲にしました。あとは、ラジオでかかると雰囲気がいいだろうなという客観的なアドバイスをいただいて。どんな時間帯にも合いやすい曲だし、平日を過ごす中で友達の存在はやっぱりなくてはならないものだろうなということも「BFF」を選んだ理由です。

ーーMVに出ていらっしゃるのは、実際のお友達ではないですよね?

MVで初めてお会いしました。でも自分のスマホに入っていたかのような動画ばかりだなと思ってます。

ーー改めて『weekday』はどんな作品になったと思われますか?

今回も同世代女子に向けて書いたんですけど、色んな方に聴きやすいアルバムになったと思います。日常の中で「私こういうの好きだったんだ」とか「昔はこういうことやりたかったんだろうな」と思い出すキッカケになってくれたら嬉しいです。

ーー4月からは全国5都市を廻るワンマンツアー『clap your two hands!』が始まります。

1年ぶりのワンマンで、久しぶりにロングセットをやれるのも嬉しいし、バンドメンバーとも2年ぐらい一緒にやってきて、仲良くなって、心を任せられる状態になってきたので、絡みも面白い感じになるのかなと思います。

取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ

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