「恩返しの心」届けたい 兵庫初のボランティアバスが石川から帰還
- ポスト
- みんなのポストを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷
阪神大震災を経験した任意団体「全国災害ボランティア支援機構」のメンバーら男女14人を乗せたボランティアバス(ボラバス)が14日夜、能登半島地震被災地の石川県珠洲市から神戸市に帰還した。珠洲市社協災害ボランティアセンター(VC)のニーズに合わせ12、13両日、地震と津波で壊滅的被害を受けた宝立町(ほうりゅうまち)鵜飼(うかい)地区などで災害廃棄物の撤去などをした。
最高齢で災害支援70回超の村上文敏さん(85)=明石市=は「圧倒的にボランティアが不足している」と感じたという。地域の象徴「キリコ祭り」の崩れた部材や民家の家財道具を運び出した。ただ、災害廃棄物の仮置き場まで自ら軽自動車で搬入するのは初めての経験だった。明石ダコを飾った愛用の帽子を被災した家主に手渡すと「孫の宝になる」と笑顔で喜んでくれたという。
村上さんは東日本大震災後、県社協のボラバスで何度も宮城県へ通った。原点は、阪神大震災で神戸市長田区駒ケ林の実家が全壊し途方に暮れた時、家具を搬出したボランティアの温かさだ。「重い畳を運んだ時、アメ玉を渡してくれた5歳の少女とは高校生になった今も手紙をやりとりする」(気仙沼市大島)、「墓地が流され墓参りに行けないお年寄りのもとを避難所、仮設住宅などに毎年3月11日、お盆、年末と訪ね続けた」(名取市閖上(ゆりあげ))――。心の交流を重ねてきたからこそ、奥能登でも末永い活動を願う。
一行は「兵庫県ボランティア」のワッペンを背に活動した。支援機構代表理事の高橋守雄さん(75)=神戸市西区=によると、珠洲市社協VCに最も喜ばれたのは、心のこもった義援金だったという。浄財は、阪神大震災で全壊した特別養護老人ホームの職員を地域型仮設住宅の運営スタッフにして、ボランティアらと苦楽を共にしてきた芦屋市の社会福祉法人「きらくえん」が10万円を寄託した。
今回約90万円の活動資金を支出した高橋さんは「6月ごろ、仮設住宅の引っ越しや農作業のお手伝いのニーズがますます高まる」と再び現地入りを計画する。県が打ち出した「災害ボランティア活動応援プロジェクト・能登応援枠」(10人以上の宿泊、交通費に最大85万円助成)について「全国の災害ボランティアが注目している。次回は応援枠の適用を受けて、兵庫から『恩返しの心』を届けたい」と話した。【中尾卓英】
【時系列で見る】
-
徐々に見えてきた 「既知」だったはずの能登の活断層の姿
12日前 -
岸田首相、復興基金の創設「検討進める」 能登半島地震
12日前 -
志賀原発1号機、能登地震で炉心部部品が脱落 安全性に問題なし
12日前 -
災害、コロナに負けないで 石川舞台の「レディ加賀」高知で初上映
12日前 -
62年ぶりに勧進大相撲 能登半島地震の被災地支援、寄付募る
13日前 -
輪島塗の危機救いたい 漆芸職人集団「彦十蒔絵」の展示販売会 京都
13日前 -
サチモス桜打さん、被災の鍵盤で急きょ演奏 「逆に助けられた」
13日前 -
スポーツ合宿地の石川・和倉温泉 復興へ全国60校以上から支援金
13日前 -
能登半島の思い出写真でモザイクアート 珠洲の若者らが制作
14日前 -
「恩返しの心」届けたい 兵庫初のボランティアバスが石川から帰還
14日前 -
「前向きな気持ち持って」 離れた被災地へ思い巡らす「かえりびな」
14日前 -
能登半島地震で相次ぐ看護師の退職 「腹をくくって出て行った」
16日前 -
「励まされる気持ちに」 地震で被災の能登鹿島駅、桜見ごろに
16日前動画あり -
能登地震で被災の15歳、福井の高校に“留学” 被災時につながりも
16日前 -
能登半島地震で農業被害も深刻 離農につながりかねない事情
16日前 -
天皇陛下のいたわりに涙 能登半島地震で自宅半壊した避難者
17日前 -
天皇、皇后両陛下が黙礼 16人が亡くなった穴水町由比ケ丘地区
17日前 -
天皇、皇后両陛下が石川・穴水に 商店街の被災状況を確認
17日前 -
天皇、皇后両陛下が能登空港に到着 2回目の被災地訪問
17日前