ビジネスジャーナル > 企業ニュース > アステラス、純利益99%下方修正
NEW

「恐怖のアステラス製薬」純利益予想99%下方修正、4回も修正に疑念広がる

文=Business Journal編集部
【この記事のキーワード】, ,
「恐怖のアステラス製薬」純利益予想99%下方修正、4回も修正に疑念広がるの画像1
アステラス製薬の公式サイトより

 アステラス製薬が12日、2月5日に公表していた24年3月期通期業績予想の修正を発表。営業利益を830億円から130億円に、純利益を580億円から30億円に修正し、純利益は95%の下方修正となったことから、週明けに株価が下落するとの予想も広まっている。同社の期初当初の予想では純利益は2270億円となっており、約99%の下方修正となることから、期初の予想値の妥当性に疑問も広まっている。たび重なる下方修正の理由、そして製薬企業が抱える経営リスクについて専門家の見解を交えて追ってみたい。

「アンメットメディカルニーズ(満たされない医療ニーズ)の高い疾患分野において、未だ治療法のない患者さん、既存の治療法で十分な効果を得られない患者さんのために、革新的な医薬品の創出」(同社公式サイトより)に取り組むアステラス製薬。がん治療剤、白血病治療剤、神経症状治療剤などの分野で新規性の高い医療用医薬品を扱っている。

 同社を代表する商品の一つが2012年に発売した前立腺がん治療剤「イクスタンジ」だ。同薬だけで年間売上高は7198億円(24年3月期予想)、全社売上の約46%を稼ぐ。このほか、免疫抑制剤「プログラフ」、過活動膀胱治療剤「ベタニス」など高いシェアを持つ薬も持っている。昨年5月には「イクスタンジ」に次ぐ柱となることが期待される女性の更年期障害を治す血管運動神経症状治療剤「ベオーザ」を米国で発売した。

 その同社は今年度、4度にわたり業績見通しの下方修正を発表している。

     期初予想   8月修正値  11月修正値  2月修正値   4月修正値
売上高  1兆5200億円 1兆6080億円 1兆5620億円 1兆5620億円 1兆5620億円
営業利益  2880億円   2590億円   1230億円   830億円    130億円
純利益   2270億円   2040億円   850億円   580億円    30億円

 営業利益・純利益ともに当初見通しより大幅な減少となっており、また下方修正が4度にもわたっているため、アステラス製薬が当初発表した数値は妥当ではなかったのではないか、なんらかの意図を持って高めの数値を発表していたのではないかという見方も広まり、SNS上では以下のような声が続出している。

<最初は純利益予想が2,270億で、今は30億ですか 見通しを立てにくかった理由が あるのでしょうかね>

<流石にやらかし過ぎでは…>

<何回下方修正するんだって感じ。底が見えない>

<恐怖のアステラス製薬 今が買い時と言われ続けて、、、>

<すでに10%以上の含み損。週明けが怖い 損切りするか、さらなるナンピンか アステラスは永久保有株と言われて買ったけど、株に永久保有なんて無いわな>

<月曜日のアステラス製薬は焼き豚祭りになりそうですね 追証もいっぱい出そうだから、底値を拾いたいですね>

<夜間PTSで アステラス製薬300株買ったけど すぐに−4,700円で損切りしました 予想以上に下げが強くて 完敗です>

<個人的に、減損は好材料と見ています。減損により、資産は軽くなり、翌期以降の償却費も減るので、将来的にプラスに働くと考えています>

<すでに18%の含み損 常に買い増しチャンスと言われ ずっと下がっている 君の名は【アステラス製薬】月曜怖い。私は長期ガチホで行くけど ホルダーさんどうしますか?>

<配当性向がかなりまずい気が 減配になったら恐ろしい株価になりそう>

 つばめ投資顧問アナリストの佐々木悠氏はいう。

「4回の見通し修正の理由はいずれも異なる内容なので、変動要因が生じたため、その都度、見通しを修正したと考えられます。たとえば2月の下方修正の主な理由はべオーザの売上が想定を下回っていることであり、今回の修正理由は遺伝子治療プログラム『AT808』の研究開発が想定どおりに進んでおらず資産価値を見直して減損損失を計上したことです」

 実際にこれまでの下方修正の理由は以下となっており、内容はそれぞれ異なる。

●8月修正時
 ・日本での営業体制の見直しを含め、グローバルでの組織改革に伴う一時費用を計上予定:約200億円
 ・メッペル工場事業譲渡に関する減損損失:約70億円

●11月修正時
 ・レキスキャンに加え、Iveric Bio社買収の影響により下方修正

●2月修正時
 ・ベオーザ売上収益の下方修正に伴い、利益段階も下方修正
 ・費用の見直しにより、上記影響を一部軽減

●4月修正時
 ・フリードライヒ運動失調症患者を対象として研究開発を進めている遺伝子治療プログラムAT808について、資産価値の見直しを行った結果、AT808に関する無形資産の減損損失約400億円をその他の費用として計上
 ・日本および欧州で販売している腎性貧血治療薬エベレンゾTMについて、各国での販売状況を勘案して将来計画の見直しを行った結果、エベレンゾTMに関する無形資産の減損損失約160億円をその他の費用として計上
 ・ゾルベツキシマブの膵臓腺がんの開発計画の更新および為替レートの変動により、条件付対価に関わる公正価値変動額約80億円をその他の費用として計上

経営的リスクの高い製薬企業

 投資家にとって気になるのは、アステラス製薬の株は今、買いなのかどうか、現在保有している場合は手放したほうがよいのかという点だ。ちなみに同社の株価は昨年5月時点から3割以上下落しているが、佐々木氏はいう。

「長期的な目線でみた場合、同社のブロックバスターであるイクスタンジの特許が2027年に切れるため同薬の売上分が急減する可能性がある点はリスクではあるものの、現在さまざまな手を打っており、開発・販売中の医薬品が次なるブロックバスターとして確立されれば、振り返れば2024年が底値だった、となるかもしれません。一方で短期の目線でみた場合、現在厳しい状況にあることは事実であり、『ここでいったん手放す』という判断をする人もいるでしょう。

 一般的に製薬企業は新薬の開発に巨額の投資が必要であり、仮に開発にこぎつけても各国当局の製造販売承認というハードルがあり、発売しても想定通りの売上を上げられない可能性もある。また、ブロックバスターも発売から一定の期間が経過した時点で特許切れとなるため、経営的に抱えるリスクが大きい業種であるという点はおさえておくべきでしょう」

 アステラス製薬の11日終値は1584.5円となっている。

(文=Business Journal編集部、協力=佐々木悠/つばめ投資顧問アナリスト)

佐々木悠/つばめ投資顧問アナリスト

佐々木悠/つばめ投資顧問アナリスト

東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。現在はアナリストとして企業分析や資産形成に関する記事を執筆。会員サイトでは投資に限らず、住宅ローンや資産形成プランなどについてサポートを行っている。
つばめ投資の公式サイト

Twitter:@s_h_tsubame

「恐怖のアステラス製薬」純利益予想99%下方修正、4回も修正に疑念広がるのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!