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岸田文雄首相とバイデン米大統領が10日(日本時間11日)、米ワシントンでの会談後に発表した共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」では、気候変動対策の加速化を目指すことも盛り込まれた。
産業革命前からの気温上昇を1・5度にとどめるという国際目標を実現するにはこの10年での対策加速が必要とされるが、両国は今回、実現に向けての決意を示せたのか。
「日米両国は、気候危機が我々の時代の存亡に関わる挑戦であることを認識し、世界的な対応のリーダーとなる意図を有する」。共同声明ではそう掲げ、「クリーンエネルギー」への移行を加速化させることを確認。日本のグリーントランスフォーメーション(GX)戦略、米国のインフレ抑制法(IRA)など、両国がそれぞれの施策を推進し、その相乗効果を目指すなどとしている。
2023年に閣議決定したGX戦略では、今後10年で20兆円を調達し、企業の温室効果ガス排出削減を支援することを掲げる。22年成立のIRAは米国史上最も野心的な気候変動対策の法律とも言われ、再生可能エネルギー導入拡大や電気自動車(EV)の普及などを推進している。
米国の環境政策に詳しい電力中央研究所の上野貴弘・上席研究員は「両国政府による支援を組み合わせることで、脱炭素化をさらに推進できる可能性がある。水素やEV、蓄電池などでの産業投資の進展も期待できる」と評価する。
11月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領が返り咲きを果たせば、米政府の気候変動対策が後退する可能性は十分にある。環境省幹部は「再生エネや省エネに役立つ技術支援など、協調できる部分で今のうちに日米でしっかり手を取り合い、できるだけ足固めをしておくという意味合いもある」と話す。
一方「国際的な対応のリーダー」をうたった割に内容に乏しいとする声もある。
国際環境NGO「350ジャパン」の伊与田昌慶キャンペーナーは「世界の気候変動対策をリードするために必要な事項への言及が不十分だ。35年までの温室効果ガス削減目標をより野心的なものにしたり、化石燃料の段階的廃止を実現したりするための政治的シグナルを発信したとは言いがたい」と指摘する。【山口智】
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