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「悪性リンパ腫・ステージ4」の症状・治療法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2024/04/09
「悪性リンパ腫・ステージ4」の症状・治療法はご存知ですか?医師が監修!

悪性リンパ腫には、その進行具合に応じてステージ1からステージ4まで病期が分けられています。病期の判断は、治療の方針を決めるために重要です。

悪性リンパ腫の治療において、薬物治療・放射線治療・造血幹細胞移植などの方法が一般的に使用されます。

この記事では、悪性リンパ腫について知りたい方のために、悪性リンパ腫の種類・症状・そしてステージ4の特徴や治療法について説明していきましょう。

小幡 史明

監修医師
小幡 史明(医師)

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自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会 みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫とは、血液中の白血球の一部であるリンパ球が腫瘍化して生じる疾患です。
100種類以上の亜型が存在し、大きく以下の種類に分けられます。

  • B細胞リンパ腫
  • T細胞リンパ腫
  • NK細胞リンパ腫
  • ホジキンリンパ腫

B細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫を合わせて非ホジキンリンパ腫と呼ばれることもあります。
悪性リンパ腫はリンパ節・脾臓・扁桃腺などのリンパ組織に発生することが多いです。
一方、胃・腸・肝臓・皮膚などの臓器にも発生する可能性があります。
発生部位の違いによって、症状や発見されるきっかけとなる診断が異なります。

悪性リンパ腫のステージ4について

悪性リンパ腫のステージ4は、がん細胞がリンパ組織以外にも広がった進行期の状態です。
ここでは、悪性リンパ腫のステージ4の特徴と症状について説明します。

ステージ4の特徴

悪性リンパ腫のステージ4は、がん細胞がリンパ節やリンパ組織以外の臓器にも広がっている状態です。このステージでは、肝臓・脾臓・骨髄、さらには肺・消化器官など、リンパ系組織以外の臓器にも腫瘍が侵入していることが特徴です。
悪性リンパ腫の病期(ステージ)の診断には主にAnn Arbor分類が用いられ、医師は病歴・各種検査・CTなどの画像検査により病期を診断します。

ステージ4の症状

悪性リンパ腫の症状は、首・腋の下・足の付け根などの表面から触知できる部位の顕著なリンパ節腫脹は、悪性リンパ腫の典型的な表れの一つです。
腫大したリンパ節が近い部位の臓器を圧迫する場合もあります。肺への腫瘤が形成されたり、胸の中に水が溜まったりすることもあります。また、胃・小腸・大腸などに腫瘤が形成され、出血や腸閉塞などの症状が出る場合もあるでしょう。
悪性リンパ腫のステージ4では、リンパ節やリンパ組織以外の部位にも病変が確認されるため、さらにさまざまな症状が見られます。

悪性リンパ腫の病期(ステージ)分類

悪性リンパ腫は、病変の進度によりステージ1からステージ4に分けられます。主に、病変がリンパ節域に限られる限局期I・IIと、リンパ節以外に広がった進行期III・IVに分類されます。

限局期:I

限局期:Iは、がんの病巣が1つのリンパ節域または臓器に限られている状態を指します。この段階では全身への転移がなく、局所的な治療が可能でしょう。診断は血液検査・画像検査・病理組織診断などで行われます。
治療としては、薬物治療を主体とし、必要に応じて放射線療法を併用することになるでしょう。薬物療法ではR-CHOP療法が主に選択されます。

限局期:II

悪性リンパ腫の限局期:IIは、横隔膜の同じ側にある2つ以上のリンパ節の病変が確認されるステージです。
限局期:Iに比べて範囲は広いものの遠隔転移はないのが特徴です。発熱・体重減少・夜間の寝汗などの全身症状であるB症状が見られることがあります。

進行期:III

悪性リンパ腫の病期分類における進行期IIIは、リンパ節や臓器にがんが広がっており、全身症状も現れる状態を指します。
主に横隔膜の両側にあるリンパ節領域の病変が見られることが進行期:IIIの特徴です。さらに、隣接するリンパ節の病変やリンパ節外への進展・脾臓の病変などがある場合もあります。

進行期:IV

進行期IVは、悪性リンパ腫が一番進行している状態を示しています。がんが複数のリンパ節やリンパ節以外の臓器に広がっており、全身への影響が大きいのが特徴です。
治療では強力な化学療法を軸とし、必要に応じて放射線治療や移植も組み合わせていきます。合併症への対応や緩和ケアも欠かせません。

悪性リンパ腫の治療・緩和ケアについて

悪性リンパ腫の治療では、患者さんの病型や状態に応じた適切な抗がん剤や治療方法の選択が重要です。
また、がんと診断された場合にはがんに伴う痛みやつらさを和らげる緩和ケアを受けることができ、生活の質を向上させるのに役立ちます。

薬物治療

悪性リンパ腫の治療では、複数の抗がん剤や分子標的薬を同時に組み合わせて使用する多剤併用療法が主に用いられています。病型や患者さんの状態に応じて、投与する薬剤や治療方法を選択します。
非ホジキンリンパ腫の場合は、3種類の抗がん剤を併用するCHOP療法や、CHOP療法にリツキシマブを併用するR-CHOP療法などが主に用いられるでしょう。一方、ホジキンリンパ腫に対しては4種類の抗がん剤を使うABVD療法や、ABVD療法と薬剤の組み合わせが異なるA-AVD療法などが選択されます。

放射線治療

悪性リンパ腫の治療では、高エネルギーのX線を使った放射線治療が選択される場合があります。放射線治療は、増殖した悪性リンパ腫細胞を破壊して病巣を縮小させるために行われる施術方法です。
放射線治療では体外からX線を照射する装置を使用します。照射は3週間から5週間程の期間で行われることが多いです。副作用には放射線照射部位の皮膚反応・粘膜炎・食欲不振・吐き気などがあり、これらは照射領域と投与される放射線の総量に依存します。
放射線治療は特に、解剖学的に連続するリンパ節領域に疾患が限定されている場合(例:限局期の非ホジキンリンパ腫やホジキンリンパ腫)に有効であり、病変の局在化によって治療の効果が異なります。

造血幹細胞移植

悪性リンパ腫の治療では、薬物治療や放射線治療に加えてさらに治癒の可能性を高めるために、造血幹細胞移植が用いられる場合があります。造血幹細胞とは、血液をつくる細胞のもとになる細胞で、赤血球・白血球・血小板に分化する能力があります。
造血幹細胞移植は、患者さん自身から造血幹細胞を採取しておき、がん治療の後に患者さんに戻す施術方法です。これにより通常よりも大量の抗がん剤を投与することが可能です。
また、ドナーにより提供された造血幹細胞を移植する場合、GVL効果を期待できる可能性もあります。ドナー由来の免疫細胞であるリンパ球が、患者さんのがん細胞を異物として認識して攻撃することで治療効果が得られるのです。

緩和ケア

がんと診断されたら、患者さん自身は精神的に落ち込む場合があります。そのようなときのために、がんと診断されたときから、緩和ケアを受けることができます。
緩和ケアは、がんに伴う痛みやつらさを和らげる支援です。さまざまな専門職からなるチームが患者さんや家族のケアにあたり、支えてくれます。通院・入院・在宅療養のいずれでも緩和ケアを受けられ、公的医療保険が適用されるほか、介護保険も利用できます。

悪性リンパ腫ステージ4についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫のステージ4の治療・緩和ケアなどを紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫のステージ4」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫のステージ4の治療後の注意点を教えてください。

小幡 史明小幡 史明 医師

悪性リンパ腫のステージ4という進行した状態の治療を終えた後は、体調管理には特に気をつける必要があります。がんの治療によって免疫力が低下しているため、通常では害のない弱い細菌・真菌・ウイルスなどにも感染しやすくなる傾向があります。そのため、手洗いやうがいなどの基本的な衛生管理を心がけましょう。皮膚の小さな傷からの感染も避けるべきであり、日常生活における注意深い行動が求められます。定期的な健康チェックや、発熱・倦怠感・局所の腫れや痛みなど感染を示唆する症状に対する迅速な対応も、重要な体調管理の一環となります。

ステージ4の悪性リンパ腫の5年生存率を教えてください。

小幡 史明小幡 史明 医師

ステージ4の悪性リンパ腫の5年生存率は、ホジキンリンパ腫で44.7%、非ホジキンリンパ腫で54.6%と報告されています。ただし、リンパ腫の種類や部位などによっても生存率は異なりますので注意が必要です。悪性リンパ腫全体の5年生存率としては、女性の方が生存率が高く高齢者では生存率が低い傾向がありますが、これは高齢者がほかの基礎疾患を持っていることが多いためと考えられます。さらに、診断後の経過年数が長くなるにつれて、生存率が向上する傾向が認められます。これは初期の重篤な合併症を乗り越えた患者さんが、その後の追跡期間の中で良好な状態を維持していることを示唆しています。

編集部まとめ

悪性リンパ腫の治療にはさまざまな方法がありますが、現代の医療技術により、治療の選択肢は広がっています。

薬物治療・放射線治療・造血幹細胞移植などの組み合わせにより、患者さんの状態に合わせた適切な治療を選択することが重要です。

また、緩和ケアも重要な要素であり、患者さんの生活の質を向上させるために積極的に取り組むことが必要です。

悪性リンパ腫と関連する病気

悪性リンパ腫と関連する病気は6個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

悪性リンパ腫の治療、特に強力な化学療法や放射線療法は患者の生殖能力に影響を与える可能性があり、不妊のリスクを高めることが知られています。また、治療によって引き起こされる可能性のあるほかの合併症には、臓器障害・糖尿病・骨粗鬆症などがあります。これらは治療薬の副作用や、疾患自体の進行によって生じることがあります。

悪性リンパ腫と関連する症状

悪性リンパ腫と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • リンパ節の腫れ
  • 高熱
  • 寝汗
  • 食欲低下
  • 体重減少

悪性リンパ腫では、リンパ節が腫れて大きくなることがあります。また、リンパ腫細胞は免疫の作用を担当する細胞です。悪性リンパ腫ではこのリンパ腫細胞の、細菌やウイルスなどを排除しようとする作用が過剰に働き、高熱・寝汗・食欲低下・体重減少などの症状が出る場合があります。

この記事の監修医師