過疎・人口減少地域 存続のとりでは「高校」 夕張市と夕高の挑戦
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人口減少の著しい北海道夕張市が、地域再生の柱に教育を据えて市内に唯一ある夕張高校の入学者を増やす取り組みを進めている。高校がなくなると現役世代も流出して衰退に拍車がかかる事態となるが、人口が減り続ける中で入学者は横ばいで2024年度は増加に転じた。道外からの入学者もおり、関係者は手応えを感じている。【谷口拓未】
<主な内容>
・特産メロンの課題、夕高生が取り組む
・市の担当職員は週の半分以上、高校に
・子どもたちの将来のため 進学実績も重視
・24年度に道外から1人入学「大きな一歩」
高校生が特産メロンの課題改善
「夕張メロンはすぐに熟してしまう。輸送時の追熟がフードロスにつながる。『2024年問題』もあり、対策は喫緊の課題です」。3月、夕張高2年(当時)のチームは北海道大など官民でつくる「フードロス削減コンソーシアム」が札幌市で開いたフォーラムで、特産のメロンを巡る課題解決に向けた実証実験の成果を発表した。
残業規制強化で物流が滞る2024年問題で、生鮮食品の運搬は地元が抱える課題の一つ。チームは授業の一環として、北大が開発した鮮度を保持できる「プラチナ触媒」が課題解決に一役買うのではと、名産品であるメロンの保存に有効かどうかを調べた。プラチナ触媒を使って冷蔵すると1カ月以上保存できるとの結果をまとめた。
触媒を備えた特注の「青果鮮度保持運搬バッグ」も考案。成果が評価され、コンソーシアムからフードロス削減に関するアイデアコンテストで最高賞の道知事賞を贈られた。
チームは24年度、バッグにメロンを入れて本州方面などへ輸送する新たな実証実験を始める予定だ。リーダーを務めた三浦寧音さん(17)は「夕張メロンを遠くの人にも知ってもらいたいし、海外にも届けられたら。身近な問題を考えられて勉強できる。それが夕張高校の楽しいところです」と笑顔を見せた。
全国で唯一の財政再生団体、夕張市が16年に始めた魅力化プロジェクトの一環として、夕張高は地域の課題などを授業で取り上げ、地元に根差した学びに力を入れている。道立高なのに市が主体的に関わる背景に、高校の有無が自治体の将来を左右するという事情がある。
財政再生団体は課題あふれた“教室”
地域から高校が失われると、中高生世代が減…
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