「すべてが限界超え」 ガザ南部ラファ、150万人市民に迫る「飢餓」
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イスラエルと、パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスの戦闘は、7日で半年になる。ガザ南部ラファに追いやられ絶望の中にいる150万人の市民に、飢餓の波が迫りつつある。
「すべてが限界を超えています」。先月20日にガザ地区の最南部ラファに入った国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保健局長で医師の清田明宏さんは、電話取材にそう語った。
清田さんは南部にあるUNRWA運営の診療所6カ所のほか、避難所となったUNRWAの学校に設けたクリニックの状況を調べている。各学校には市民3~4万人が殺到。トイレは900人に一つ、シャワーは5000人に一つしかない。不衛生な環境から、A型肝炎や下痢、呼吸器感染症などがまん延しているという。
食料不足も深刻だ。
国連の「総合的食料安全保障レベル分類」(IPC)は先月18日発表の報告書で、激戦地となったガザ北部で5月末までに、南部など他の地域でも7月までに飢饉(ききん)となる可能性があると伝えた。
IPCが過去に飢饉を宣言したのはソマリア(2011年)と南スーダン(17年)だけだ。清田さんは「飢餓、餓死が現実問題となっている」と語る。
<主な内容>
・食料はなぜ市民の手に届かないのか
・物資搬入に立ちはだかる「軍民両用」の壁
・「ラファ侵攻」への不安
食料はなぜ市民の手に届かないのか。
ガザには現在、支援物資を積んだトラックが1日平均160台ほど入るが、平時の3分の1弱にすぎない。
搬入が限られる原因の一つに、運転手不足の問題がある。命がけの作業になるため、担い手が足りない。
最近もガザ中部で食料の配給をしていた米国の支援団体のスタッフ7人が、イスラエルのドローン(無人機)により殺害された。イスラエル政府は誤爆を認めた。
2月末には、食料を積んだトラック38台がガザ北部に入ったが住民が殺到。イスラエル軍が「警告射撃」と称して市民を攻撃し多数が死傷した。
特に北部…
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