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第82期名人戦

初防衛を目指す藤井聡太名人に、豊島将之九段が渡辺明九段に名人位を奪われて以来5期ぶりの復位を期して臨みます。

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藤井聡太名人「何が本命?」 羽生善治九段以上に読めぬ挑戦者の戦型

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名人戦七番勝負への意気込みを語る藤井聡太名人=東京都渋谷区の将棋会館で2024年3月13日、玉城達郎撮影
名人戦七番勝負への意気込みを語る藤井聡太名人=東京都渋谷区の将棋会館で2024年3月13日、玉城達郎撮影

 第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)が10日に開幕するのを前に、藤井聡太名人(21)がインタビューに応じた。名人位奪還を狙う豊島将之九段(33)を挑戦者に迎え、「一手一手考え抜いて新しい将棋を指したい」と名人初防衛に向けて意気込む。注目する対局地や関心を寄せるニュースについても語った。【丸山進、新土居仁昌】

名人の立場で問われる備え

 ――名人だったこの1年間、順位戦を戦わなかった。

 ◆対局の続く時期と空く時期の差がこれまでより大きかった実感はありました。名人の立場は「順位戦がない分、名人戦に向けてしっかり備えなさい」ということでもあるので、名人戦でそれが問われます。

 ――今期A級順位戦の印象は。

 ◆毎年上位に入っている豊島九段、永瀬拓矢九段、菅井竜也八段が今年も安定した戦いぶりでした。豊島九段は(1月末の)斎藤慎太郎八段との一局は終盤際どい中で負けてしまい、最終局に向けて嫌なところもあるかなと思いましたが、最終局、菅井八段との一局で安定感が戻りました。△5二歩は意外でしたが、4二から5一と玉を逃げる構想はリスクがあるようでも相手の攻めを見切っているあたり、さすがでした。

豊島九段の戦術「分からない」

 ――豊島九段は戦型の幅が増えた。

 ◆最近の将棋は後手番でどう戦うかが大きな課題で、誰しも工夫を迫られています。豊島九段はそれだけではなく、振り飛車は先手番での採用でしたし、将棋の枠自体を広げようという試みとも感じています。

 ――豊島九段との対戦は22勝11敗で9連勝中、先手番では14連勝中と好調。

 ◆公式戦全体で先手番でいい結果が出てはいますが、偶然の偏りもありますし、逆に後手番の課題が顕在化しています。過去の対戦では角換わりと相掛かりが多かったですが、今の豊島九段はいろいろな戦型を指していて何が本命とも言えません。

 ――昨年の王将戦七番勝負の挑戦者、羽生善治九段と同じか。

 ◆王将戦の時もそう感じましたが、最近の豊島九段は本当にいろいろな形を指しているので、その時以上に分からないと言ってもいいです。

 ――永瀬九段、伊藤匠七段との違いは。

 ◆永瀬九段や伊藤七段は…

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