演歌歌手西方裕之(62)が、22年2月に発売した「おまえひとりさ」のミュージックビデオが、YouTubeで演歌では異例の113万回再生を記録している。アンサーソングの昨年11月発売の「倖せふたり」も、現在、22万回再生。1987年(昭62)に昭和の終わりにデビューした、朗々とした歌声とおもしろトークで知られる男。連載最終回は、趣味や今後について聞いた。【小谷野俊哉】

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昭和にデビュー。バブルな時代が過ぎ、今はYouTubeで歌を聞いてもらう時代になった。62歳になったが、独身のままだ。

「自分がデビューした時は、五木ひろしさんとかも独身の時代。当時の事務所の社長から、はっきりと『結婚しちゃだめだよ』みたいに言われていました。だから、そんなもんなんだろうかと思ったんですけどね。そのうちに五木さんも結婚して、していいんじゃん! って思った時はもう遅いんですよ。本当に、もうなんかね(笑い)。家庭を持つのに興味がなくなりましたね。だからもうね、この年になったら、結婚しない方がいいっていうか、面倒くさい。もう野たれ死にでも仕方ないなみたいに思ってます」

趣味はDIY、日曜大工。自分自身で家の修繕をする。

「分からない所があるから、YouTubeを見て参考にしてやっています。ちゃんと見てやれば、簡単かもしれない。でも、計画してないんですよ。だから、やりながら、ここを失敗して、また崩してとね。そういうのがね、意外と楽しいんです。自分でやろうと思ったきっかけは、お金ないから。頼むとどれだけかかるか分からないから、自分でできたらやってみようと」

故郷佐賀には、自分で車を運転して帰る。

「先月、お世話になっていた人が亡くなって、仕事もあって帰りました。東京から車を運転して、15時間くらいかけてゆっくりと帰りました。途中で眠くなったら、寝たりして。何時に出発したら渋滞にかからないとかは考えずに、用意ができたら出て、疲れたら休めばいいと。犬を飼っているんで、連れて行かなくちゃいけないんで車が楽なんですよ」

26歳でデビューして62歳。38年目の歌手生活となる。

「自分のデビューした26歳の時から思うと、もう全く予想がつかなかったです。気持ちはですね、20代とか30代とかあんまり変わらないんですよ。ただ、やっぱり60代になったら多少、体力が落ちたような気はします。病院へは、なかなか行けないですよ、怖くてね。でも、無事に楽しく歌っていきたいですね」

あせらずマイペース。62歳にして、まだまだ成長している。(おわり)

◆西方裕之(にしかた・ひろゆき)1961年(昭36)7月1日、佐賀県唐津市生まれ。87年7月に「北海酔虎伝」でデビューし、新宿音楽祭銅賞、横浜音楽祭新人奨励賞を受賞。代表曲は「遠花火」「夢追い川」、日本有線大賞有線音楽賞受賞の「恋路川」、「赤とんぼ」、「湯けむりの宿」、「男なら~平成節~」など。趣味はアコースティックギター(約30本所持)と折りたたみ自転車(10台)、車、DIYの日曜大工。165センチ。血液型B。