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女性のトップ就任が相次いでいる。田村智子・共産党委員長、鳥取三津子・日本航空社長、渕上玲子・日本弁護士連合会会長……。しかし、ジェンダー平等の実感はまだまだ乏しい。目を向けたいのが、夫婦同姓などの根拠とされる「伝統的家族観」だ。日本中世史を専門とする本郷和人・東京大史料編纂所教授に尋ねた。「伝統的家族観って本当なんですか」【聞き手・鈴木直】
男女の関係、大きく変化
――相次ぐ女性トップ誕生を日本史研究者としてどう見ていますか。
◆日本史上、特筆すべき出来事だと言ってよいと思います。だって、ほんの数十年前まで、「女性は家にいて、旦那の世話をしなさい」と言われていたんですから。
40年くらい前、私が学生だったころは、東大を卒業しても専業主婦になる人が結構いました。今は東大も、女子学生が学びやすい環境を整えようと、家賃を補助したり、女性教員を増やそうとしたりしています。
家族のあり方も含めて男性と女性の関係性は大きく変わりました。我々のような中高年、特に男性優位の中で既得権を持った男性たちは、若い頃の感覚からのアップデートが求められています。
国際競争にさらされている企業経営者の中にはしっかり認識している人もいますが、変われない、変わることに戸惑っている人は少なくないでしょう。
「変わりたくない」人も
――麻生太郎自民党副総裁が上川陽子外相の容姿をやゆして批判されました。
◆麻生氏は、変われないというより、変わりたくないのだと思います。いわば特権階級の人だから。社会全体が変わっていかないと特権階級には届きません。
特権階級は、庶民とは世界が違います。…
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