甲子園彩った個性派ユニホームの右腕 あえて父に聞かなかったこと
毎日新聞
2024/4/4 07:10(最終更新 4/5 22:46)
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チャコールグレーと赤の個性派ユニホームで昨夏の甲子園を彩った浜松開誠館高でプロ注目と騒がれた149キロ右腕は今月1日、入社式に臨んでいた。桜咲く季節に胸へ去来するのは、向上心を呼び起こすきっかけとなった新型コロナウイルス禍、そして成長を後押ししてくれた父への思いだ。
諦めかけた時期に……
「高校で野球はやめよう」
社会人野球の三菱自動車岡崎に入社した近藤愛斗投手(18)は昨春を迎える頃、そう心に決めていたという。
高校1年の秋にエースナンバーをもらいながら、重圧のためか原因不明の制球難に陥った。2年春には「2軍落ち」を経験し、地道にトレーニングに取り組みながらも結果が出ない。だが、上を目指すのを諦めかけた頃から変化が表れる。3年の夏を前に球速が上がり、プロのスカウトから声がかかるほどになった。
「全く想像していなかったけど、上のステージで続けることを考えるようになりました」
背番号1をつけて臨んだ全国選手権。1回戦は東海大熊本星翔戦に先発し、七回途中2失点(自責1)で浜松開誠館の甲子園初出場初勝利に貢献した。だが、2回戦の北海戦(南北海道)は救援登板してサヨナラ負け。同世代の力のある選手と対峙(たいじ)したことで自分の立ち位置を理解し、「まだプロの世界では通用しない」とプロ志望届は出さなかった。
父との二人三脚が礎に
同時に、それまで自分がどう成長してきたかを考えた。
父の影響で始めた野球はなかなか熱中できずにいた…
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