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高齢パパを生きる

高齢で父親になる男性が増えています。不妊、介護、仕事…。壁にぶつかりながらも育児に奮闘する高齢パパの人生を見つめます。

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高齢パパを生きる

5歳と9歳と認知症の父親と ダブルケアで学んだ「人生の意味」

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長女を抱きしめる新垣誠さん=本人提供
長女を抱きしめる新垣誠さん=本人提供

 人生を歩み始めた子どもと、老いてゆく親に向き合う。

 沖縄県に住む大学教授、新垣誠さん(58)は妻(40)とともに、5歳と9歳の子育てに奮闘している。同じ屋根の下には認知症の父親(90)と、母親(87)もいる。

 育児と介護の負担を同時に抱える「ダブルケア」は決して楽ではない。それでも新垣さんは言う。

 「家にいると、なぜか自然と笑顔になれるんです」

 高齢で父親になる男性が増えています。不妊、介護、仕事……。「高齢パパ」をテーマに以下の記事をお届けします。感想や体験談を「つながる毎日新聞」までお寄せ下さい。
 ・死別、落選、不妊…それでも父になる
 ・40代以上の父、20年前の1.4倍
 ・元NHKアナ「白髪のパパ」に
 ・「大黒柱になったし…」は危険
 ・おじいちゃんに間違われた

さまよう父を捜し、全身筋肉痛に

 朝は「バトル」だ。

 中学教諭の妻は午前6時半には家を出る。新垣さんは2人の子どもを起こし、着替えを手伝い、朝ご飯を食べさせる。洗濯物を干し終えたら次女を保育所に送り、大学へ出勤する。

 夕方も慌ただしく時間が過ぎる。

 帰宅途中、次女が通う保育所へ迎えに行く。長女の習い事の送迎や宿題の相手をし、子どもがおとなしく寝てくれると、やっと一息つける。

 自宅は2世帯住宅で、新垣さんの両親も同居している。父は日中のほとんどをベッドの上で過ごし、食事などの介助も必要だ。

 ヘルパーの力を借りながら、母が主に介護を担う「老老介護」。病院の送り迎えや散歩の付き添いなどは、新垣さんが手伝っている。

 父は時折1人で家を出て、近所を歩き回る。沖縄戦を体験した父は、昔を思い出し、「ここに壕(ごう)があったはずだ」と探しに行くのだ。

 だが、道に迷って帰ってこられないこともある。新垣さんはある時、幼い娘を抱っこしながら2時間以上走り回って父を捜した。無事見つかったものの、全身が筋肉痛になった。

多忙な海外生活、すれ違いで離婚

 新垣さんは国際平和学や国際関係論が専門だ。若い頃は1年の3分の1ほどを発展途上国で過ごした。

 前妻とはすれ違いが続き、1年半で結婚生活にピリオドを打った。

 スピード結婚に、スピード離婚。「俺が子どもを持つのは無理だろう」と思っていた。

 それでも、フィリピンなどで現地の子ども…

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