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モスクワ近郊で3月22日に起きた大規模テロから、今月5日で2週間。事件では、実行犯として起訴された4人全員が旧ソ連の小国タジキスタン出身だった。犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)は以前から、タジクなど中央アジア諸国への浸透が指摘されていた。一方、労働力不足に悩むロシアにとってタジクは移民労働者の一大供給国であり、切っても切れない関係にある。
カーネギー国際平和財団の中央アジア専門家、テムール・ウマロフ研究員の3月28日公表の論考によると、タジクは国際テロ組織の「人材募集」の場としてかねて注目されてきた。
タジクでは2015年、内務省特殊部隊のエリート指揮官が「シリアでISに加わった」とネット上の動画で表明し、ロシア在住のタジク人労働者にも参加を呼びかけるという出来事が起きた。14~19年にISへ加入したタジク人は約2000人に上るとされる。
タジクでは1991年の独立直後、旧共産党勢力の政権側とイスラム勢力を含む反政府勢力の内戦が発生した。その後、ラフモン大統領の独裁的な長期政権の下で経済難が続き、国民の不満が過激思想の浸透につながってきた模様だ。国内で18~19年に起きた、外国人観光グループへの襲撃や2件の刑務所暴動についてISの関与が指摘される。
タジクの隣国アフガニスタンでは、イスラム主義組織タリバンが21年に復権したが、それと対立するISの分派「イスラム国ホラサン州」(IS―K)の勢力拡大も報じられている。IS―Kはタジク語を用いて通信アプリや動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のアカウントを運営。提携するメディアがラフモン氏を批判したり、宗教的な資料を配布したりしていたとされる。
ロシア経済を下支え、緊密な関係
一方、今回テロが起きたロシアとのつながりでは、タジクは…
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