JR根室線富良野-新得間、31日最後 「北の国から」登場の駅も

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2024年3月31日で廃線になる根室線富良野-新得間の東鹿越駅=北海道南富良野町で2023年1月18日午後3時13分、土屋信明撮影 拡大
2024年3月31日で廃線になる根室線富良野-新得間の東鹿越駅=北海道南富良野町で2023年1月18日午後3時13分、土屋信明撮影

 JR根室線の富良野―新得間(81・7キロ)が31日、最終運行を迎える。かつては北海道の道央と道東を結ぶ大動脈として機能したが、石勝線の開業にともなって乗客が減っていた。路線のバス転換で沿線住民の足は確保されるが、映画やドラマの舞台となって人気のある駅も廃駅となるため、駅舎の今後が注目される。【片野裕之】

 31日で廃線になる富良野―新得間は1907(明治40)年に開業した。駅は九つあり、四つの自治体を通る。70年代は1日の平均乗客数(輸送密度)が5000人を超え、札幌圏と道東を行き来する人たちを旭川、滝川経由で運ぶ区間を担っていた。だが、日高山脈を貫いて札幌圏と帯広をつなぐ石勝線が81年に開業すると、人々の流れが変化。利用客が激減し、近年は平均乗客数が数十人台となっていた。

 国鉄民営化後に経営難に陥っていたJR北海道は2016年11月、根室線富良野―新得間を含む道内の10路線13線区を「単独では維持困難」と発表。平均乗客数200人未満の「赤線区」5カ所、200人以上2000人未満の「黄線区」8カ所を示し、赤線区の廃線とバス転換を提案した。富良野―新得間は、地元で年間約10億9000万円の維持費負担が困難として、JR北と沿線4自治体が23年3月、廃線とバス転換で合意した。

 この区間を巡っては、16年夏の豪雨災害によって東鹿越―新得間(41・5キロ)で橋りょうが流出するなどの被害があり、不通となった。JR北が代行バスを走らせてきたが、復旧することなく廃線となる。

 廃線後のバス路線は、地元のバス会社と自治体がJR北の支援を受けて整備した。富良野市内を運行するふらのバスは現状の路線を南富良野・幾寅地区まで延伸して増便。車椅子対応の大型バスを導入する。旭川と帯広を結ぶ都市間バスも停留所の新設や増便の対応を取る。新たなダイヤは4月1日にスタートする。

JR根室線の廃止区間 拡大
JR根室線の廃止区間

 今後、焦点となるのが、映画やドラマの舞台となった駅舎の取り扱いだ。幾寅駅は高倉健さん主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地として有名で、全国からファンが訪れていた。駅舎は立地する南富良野町が譲り受け、現在も駅構内にある映画の資料館を運営する町観光協会に管理が委託される方針。一方、ドラマ「北の国から」で使われた布部駅(富良野市)は取り扱いが決まっていない。JR北は譲渡先がなければ、駅舎を取り壊す方針だ。

 道内で路線の見直しは今後も続く。最後の赤線区である留萌線深川―石狩沼田間は26年3月末の廃線が決まっている。赤線区の見直しは終わるものの、22年度の本業のもうけを示す営業損益は572億円の赤字で、抜本的な収支改善策が急務となっている。本格的な議論が始まっていない黄線区の存続策や北海道新幹線延伸に伴う貨物輸送のあり方など課題が山積しており、解決に向けた国やJR北の姿勢が改めて問われる。

   ◇

 富良野―新得間のラストランに向けてさまざまな催しが予定されている。

 JR北海道と沿線自治体は31日、お別れセレモニーを富良野、東鹿越、新得の3駅で開催。各駅で地元有志らによる特産品や根室線関連グッズを販売するほか、新得駅で区間の歴史を振り返る写真展が開かれる。映画「鉄道員」の舞台となった幾寅駅で午後1時半から紙芝居「なつかしの鉄路」の上演も行われる。各駅は、別れを惜しむ住民やファンが訪れることが予想され、JR北は富良野―新得間の車両を通常の1両から4両にして対応する。

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