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小林製薬(大阪市)が機能性表示食品として販売する「紅麹(こうじ)」のサプリメントを摂取した人から健康被害の報告が相次いでいる問題で、厚生労働省は29日、健康被害のあったサプリの原料の一部から、青カビが作り出す天然化合物「プベルル酸」が同社の調査で検出されたと公表した。健康被害の原因物質かどうかは不明だとし、今後、政府が調査を進める。原因究明に向け、厚労省は30日、原料を製造した大阪市の工場などに対し、同市と連携して、食品衛生法に基づき立ち入り検査を実施する。
小林製薬は2023年4~10月に製造したサプリの原料の一部から、健康被害との関連が疑われる未知の成分が検出されたと説明した。
同社の厚労省への説明によると、大阪工場で昨年9月に製造したサプリの原料を同社が解析したところ、プベルル酸が確認されたという。
同社は、過去3年間に製造されたサプリの原料を、国に提供している。同省は今後、国立医薬品食品衛生研究所で、毒性のある成分が含まれていないかや、プベルル酸が発生した仕組み、健康被害との関連について調べる方針だ。
プベルル酸は青カビが作り出す天然化合物で、サプリには本来は含まれないはずの物質だ。マラリアの病原体に対しては毒性があることが報告されている。
健康被害の出た患者には腎臓疾患を訴える人がいたが、厚労省は「プベルル酸の腎臓に対する障害の影響は現時点では明らかになっていない」としている。
また小林製薬の説明によると、プベルル酸は紅こうじが作り出すものではないという。同社は製造ラインでカビが生えていないか、調査しているという。
政府は29日、厚労相や消費者担当相を集めた関係閣僚会議を設置した。今回の件を受け、食品による健康被害の情報収集体制や、サプリが届け出ていた機能性表示食品の制度を見直す方針。5月末までに関係省庁が対応をまとめる。【奥山はるな、藤河匠、池田直】